社説 脱・遠慮感、名刺を武器に

2023.02.18

 間もなく日本郵政グループも第3四半期決算を公表するが、やはり気になるのは今年度から再開した本格営業の行方。「郵便局を激励に回る時にあえて電話せずに行って、社員に『名刺出して』と言うと、『ロッカーに置いています』『今取ってきます』と言われてしまう。営業を前ほどやらなくなったことで、即出しができなくなっている。声を掛けて名刺を渡しながらあいさつするところから始まるのが営業。自分の名前を売り、お客さまへの責任を私が請け負います、の意味を込めた肝心要の名刺の準備ができていない」と、ある役員局長の残念がった言葉を耳にした。

〝すみません〟は〝ありがとう〟に

 お詫び行脚の末、来客者が何かの相談で局長や社員を訪ねた場合も、「いつもありがとうございます。いかがされましたか?」の言葉は「わざわざすみません」に取って変わった。昨年4月から本格営業を再開したはずだが、遠慮感がぬぐえない状況が続く。その局長の方は自ら気付き、「お詫びから感謝に、〝すみません〟は〝ありがとう〟にしよう」と呼び掛けたそうだ。
 そして、「我々、特に地方の人間にとっては地方創生が大事。ただし、根本である三事業を頑張らないことには地域のあらゆるサービスもできなくなってしまう。三事業も、地方創生も、両輪で懸命に取り組むことで地域からの信頼を勝ち取らなければならない」と強調する。
 「例えば、局内でお客さまが何かチラシを見ていると、以前は『郵便はこちらで見ておくからどんどんお声掛けして』と社員を後押ししたが、僕ら局長も社員に遠慮して言えなくなっている。金融営業に頑張らなくてはいけない、という熱い思いは局長も社員も持っているが、遠慮の方が優先する。社員はお客さまに遠慮し、局長は社員たちに遠慮している。それでは状況を打開できない」
 話してくださったのは全特総会の開催地、沖縄県本島北部地区連絡会の伊佐敬統括局長(沖縄地方会副会長/石川)。遠慮を脱しなければ郵便局に春は来ない。