北海道・九州初 包括受託に勢い
郵便局による自治体の行政事務の包括受託が全国各地に広がる中で、1局のみではなく、数局の広範囲で請け負う形が目立ってきた。北海道白老町(戸田安彦町長)は社台、萩野、竹浦、虎杖浜の4局に支所業務を委託し、10月から開始する。一方、福岡県嘉麻市(赤間幸弘市長)が9月1日から鴨生・千手・宮野の3局に支所業務を委託。北海道支社(及川裕之支社長)、九州支社(豊田康光支社長)それぞれ初となった自治体事務の包括受託は、8月25日に北と南で締結式を開催。北海道支社の及川支社長は「郵政創業150年の節目に新しい仕事をさせていただく。地域の皆さまのお役に立てるようしっかりと取り組む」と意気込みを語った。
白老町長「サービス向上とコロナ対策」
北海道支社長「トータル生活サービス目指す」
8月25日に北海道白老町役場で行われた締結式で、戸田町長は「縦長の白老町は、各地に郵便局がある。町民に慕われる郵便局にいろいろな業務を委託することで、町民は家の近くで行政手続きをできるだけでなく、リスクを分散し、コロナ予防にもなり、大変意義深い。業務内容をどんどん拡大しながら前に進みたい」と喜びを見せた。及川支社長は「幅広い業務を包括的に行えるのは北海道で初めて、全国で14例目。日本郵便は安心・安全・快適で豊かなトータル生活サポートの実現を目指す。締結に至るまで尽力いただいた関係者の皆さまに心から御礼を申し上げたい」と感謝の意を表した。
白老町で受託したのは、公的証明書(①住民票の写し等②戸籍の附票の写し③地方税法に基づく納税証明書④戸籍謄抄本等⑤印鑑登録証明書)の交付事務。それ以外は、①国民健康保険関係の各種届出書・申請書の受付②後期高齢者医療制度関係の各種届出書・申請書の受付③飼い犬の登録関係の各種届出書・申請書の受付④狂犬病予防注射済票の交付⑤精神障害者保健福祉手帳の交付⑥身体障害者手帳の交付および届出書の受付⑦療育手帳の交付・返還の7業務となっている。
同町とは来年4月から、ごみ袋やごみ処理券の販売、地域循環バス定期券の発行等の受託窓口事務についても開始する方向で協議を進めている。
一方、福岡県嘉麻市で受託した3局は、これまで住民票の写し・印鑑登録証明書の交付と限られたものだったが、締結により大幅に拡充。式典はコロナ対策として、リモートで開催された。
8月未時点で、郵便局の自治体包括事務は12自治体から20局が受託。長野県泰阜村の温田局、石川県加賀市の橋立・山代・山代桔梗ケ丘・片山津・動橋局、福島県二本松市の岳温泉局、静岡県東伊豆町の熱川局、茨城県大子町の大子佐原・町付・生瀬局、島根県西ノ島町の浦郷・別府・美田局、山口県萩市の萩越ケ浜局、茨城県石岡市の瓦会局、岩手県二戸市の御返地局、岐阜県多治見市の多治見高田局、山口県長門市の宇津賀局、栃木県日光市の清滝局がそれぞれ行政事務を取り扱っている。