「共創の未来へ」郵便局の自治体事務包括受託
信越支社(大曽根和之支社長)管内の長野県泰阜村の温田局(中島淳子局長)から2019(令和元)年7月に全国で初めて始まった郵便局の自治体事務包括受託は、5年半が経過した今年1月末までに全国40自治体まで広がった。(写真は山口県長門市)
早期に〝丸ごと〟できる拠点価値を
北陸支社(加納聡支社長)の石川県加賀市の橋立局(渡辺宣行局長)は全国で2番目に49業務を受託。渡辺局長は「橋立局のみの受託だったが、2年後には5支所廃止に伴い、5局受託局が増え、計6局で受託している。うち、マイナンバーカード関連業務を橋立・山中・山城の3局で受託。5年更新業務で市はパンク状態のため、近隣の郵便局でできるのは喜ばれている」と語る。
全国で7番目、21年6月からスタートしたのが中国支社(砂孝治支社長)管内にある山口県長門市の宇津賀局(入野忠義局長)。宇津賀出張所の機能を移転し、地域振興等の相談等にも応じている。
四国支社(紀井哲支社長)の香川県東かがわ市の五名局(岩田浩司局長)と福栄局(兒島保局長)は23年4月に51業務を受託。五名局の岩田局長は「包括受託以前から局内に市の出張所が設置されていたが、局から役場まで車で30分以上かかるため、住民の方は『マイナンバーカード関連の手続きもできるとうれしい』とおっしゃる」と強調する。
24年10月に九州支社(平山泰豊支社長)管内の熊本県天草市内23局が全国初の広域包括事務受託を一斉にスタートした(写真上)。
笠田敏和副統括局長(須子)は「天草市全域において、23局で一斉に受託を開始したことで郵便局の存在感が高まったと感じる。お客さまは『郵便局で全部、手続きができるけん、良かった』『近くでできるから楽になった』と好反応。局によって差異はあるが、来局者数も増えている。前統括局長と今の勝木重喜統括局長(御領)とで各局長から地域課題を聞いて粘り強く交渉してくれたことと、各局長も情報提供をしながらそれぞれ市との信頼関係を築き、市の方も『郵便局に任せて大丈夫』と決断されたのだと思う」と話す。
同時期の昨年10月、郵政民営化委員会(山内弘隆委員長)は泰阜村の温田局を視察(写真上、郵政民営化委員会資料から)。同行した郵政民営化推進室の藤野克室長は「自治体側の要望として、郵便局に半分が委託できても半分の業務が残ってしまえば結局、村は人員を残さなければならない。〝丸ごと〟できる郵便局の拠点価値に期待も大きい」と指摘する。