柘植外務副大臣が講演 佐久地域問題研修会
長野県南佐久郡町村会(中島則保会長)は8月23日、「2024(令和6)年度佐久地域問題研修会」を川上村文化センターで開催した。講演者として招かれた柘植芳文外務副大臣は「過疎地には人口減少に負けないエネルギーと知恵がある。その証拠に佐久地区の人口は減少せず、増えた地区もある。小さな町や村の独立性を担保しながら〝広域〟で切磋琢磨し、素晴らしい地域づくりをますます前に進めてほしい」と呼びかけた。信越支社の大曽根和之支社長をはじめ、東信地区連絡会(傳田彰統括局長/北御牧)の局長の方々が出席。約230人の関係者が1時間半熱心に聴き入り、大拍手の中で幕を閉じた。
逆転へ!掘り起こそう「過疎地の潜在パワー」
中島村長(左) 有坂村長(右の正面を向いている方)
佐久穂町、小海町、川上村、南牧村、南相木村、北相木村の2町4村から構成される南佐久郡町村会の研修会開催は17回目。冒頭、南佐久郡町村会会長で南相木村の中島則保村長が「人口減少で地方に非常に厳しい時代。郵便局の方々と連携を深め、地域づくりに尽力したい」と意欲を示した。
元郵便局長の南牧村の有坂良人村長が柘植外務副大臣の経歴と「人と人とのつながり・往来」との講演テーマを紹介。依田明善長野県議会議員は「郵便局の新たな魅力や役割を見出すことで地方を元気にしていきたい」と期待を寄せた。
【柘植外務副大臣講演内容】
岐阜県恵那市で近隣とは家族のように育ってきた私にとって、温かく助け合う地域は人生の原点。局長の仕事は三事業はもとより、地域の方々と新しい文化を創造できる喜びがある。
政治の世界に入った理由は、2012(平成24)年に成立した改正郵政民営化法が法の趣旨に沿って運用されていくかを確かめるために、政治家になってほしいと要望をいただいたため。妻には「政治家目線でなく、一般庶民の眼で判断しなければいけない」と諭された。
当初「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(山口俊一会長)は82人だったが、3年間で約200人の先生方が入られ、郵政の味方は増えていった。
27(平成19)年の民営化当初は収益のみが追求された郵政事業だったが、元の公益性・地域性を取り戻そうと訴えてきた。しかし、まだ道半ば。改正法をもう1回見直そうと今、議論している。過疎化や少子高齢化が進み、自治体だけでは手に負えない。住民に身近な郵便局にやってほしいとの声が政府内から湧き上がっている。
総務省はもちろん、厚生労働省も医師や診療所がない中山間地で郵便局を活用したオンライン診療も始まった。第4事業として公共サービスを位置付ければ、国が郵便局ネットワークを維持する資金を出せる。
昨年12月に外務副大臣を拝命した。外交とは対話でどれだけ相手との信頼関係をつくれるかが勝負。過去の歴史においても相手を理解し、寄り添って話をすれば戦争回避もできたと思う。対象は異なれど、外交官も郵便局長も一緒。局長が地域から信頼されなければ何事もうまくいかない。
都立大学の山下祐介教授の著書「地方消滅の罠」には、過疎化や消滅というキーワードで地方は駄目だと諦めるのは間違いだと書かれている。同感だ。平成の大合併は失敗だった。小さな町や村の独立性を担保しながら切磋琢磨し、素晴らしい地域づくりを前に進めてほしい。
今後は住民票が二重に登録でき、地域のことが複数できる時代に入る。外国人技能実習生が消防団で活躍し、地域のコミュニケーションが良くなったとの新聞記事を読んだ。過疎地では技能実習生が増えてきたが、6町村は仲間として迎え入れ、成功されていることが素晴らしい。
日本は今後ますます人手不足になる。消防団も今、人手が足りない。技能実習生の方々も局長の皆さんも頑張ってもらいたい。会社にはそれらの活動も地域貢献として人事評価をいただきたい。日本は技能実習生を受け入れる体制にしなければ、外国人から選ばれない国になってしまう。
日本郵便は約2万の直営拠点を持つ潜在力のある事業体だ。川上村と南牧村は高原野菜の一大産地だが、例えば、農業と郵便局とが連携すれば、配送も決済も日本郵政グループ全体が伸びてくる。6町村の方々に郵便局と局長の才能をどんどん活用いただき、新しい事業を興し、全国モデルをつくっていただきたい。