日本郵政株主総会
日本郵政グループは6月17~19日、上場後9回目となる定時株主総会を東京都港区のザ・プリンスパークタワー東京で開催した。日本郵政の株主数(2024〈令和6〉年3月末時点)は約70万人、発行済株式総数は約35億株。引き続き、個人投資家の保有割合が高い。怒濤のように変化が押し寄せる時代に郵便局をどう社会に役立て、収益に結び付けられるか、勝負の年度が始まっている。日本郵政の増田寬也社長は「郵便局ネットワークは最も根幹。『JPビジョン2025+』には、地域の実情に応じた個性ある郵便局へ変えることを掲げた。『窓口オペレーション改革』により郵便局窓口事業の早期の黒字への転換を目指す」と意欲を示した。
郵便局は根幹。個性輝く拠点を
中期経営計画を見直した「JPビジョン2025+」は引き続き、グループの目指す姿として「お客さまと地域を支える共創プラットフォーム」を掲げる。その実現のために、約40万人の社員の力をグループの総力を挙げて結集。
成長ステージへの転換の3本柱となる①収益力の強化②人材への投資によるEX(社員体験価値)向上③DXの推進等によるUX(ユーザー体験価値)向上――に対応する4領域に、24・25年度の2年間で約4000億円の投資も行う。
社員全員が誇りとやりがいを感じて働ける職場の実現に向けて、初めて「社員エンゲージメントスコア」や「育児との両立支援」の目標も設定した。
株主からの「郵便局窓口事業に関し、来客数の少ない郵便局の簡易局化、郵便局の局車両廃止、局長の複数局での兼務等でコストを削減すべきではないのか」との質問に対し、増田社長は「郵便局ネットワークはお客さまとの大切な接点で、グループの最も根幹を成す。局窓口事業の業績は厳しい見通しだが、店舗の最適配置、営業時間の弾力化等や業務のデジタル化、ペーパーレス化など『窓口オペレーション改革』により、効率化とコスト削減を図り、26年度以降の早期の黒字基調への転換を目指していく」などと展望した。
「年賀はがきは高額の1等をやめ、2等、3等を増やしてもらいたい。当たった方が増えれば景品をもらうために郵便局に行く。郵便局に活気が戻る。また、景品の引き換え期間の半年を1年にしていただきたい。当たった方が大切な記念日等に郵便局に行って、日付印を押してもらえる」には、美並義人日本郵便副社長が「年賀状離れを食い止めるべく、広報・宣伝活動を通じて年賀文化の振興を図り、付加価値を高めた年賀はがき開発に取り組みたい。貴重なご意見を念頭に展開したい」と答えた。
「管理職再雇用のポジションは」には、林俊行専務執行役が「改正高年齢者雇用安定法を踏まえ、70歳まで高齢者が働ける就業機会確保措置を労働組合と議論している」と報告。
「配当の請求の仕方が分からなかった」には、一木美穂常務執行役が「電子提供制の導入に伴い、原則ウェブで全内容を掲載し、紙の招集通知は主な内容に絞らせていただいた。詳細を紙で欲しい株主様は書面請求手続きを3月31日までにいただければ準備する」と説明した。
「地域基幹職と一般職のことが報じられたが、社員のESを上げる方策は」には、林専務執行役が「今年度の春闘でも定期昇給並びにベアを実施。地域基幹職と一般職の統合も視野に入れ、全体の賃金の改善に努力している」と強調。
「郵便物の誤配が多発している。配達員の負担軽減も考えてほしい」には、美並日本郵便副社長が「全社一丸となって郵便事業の適性化に取り組む」と力説。「ゆうパック引き受けが減っているようだが」には、「差し出し利便向上や、楽天様や佐川急便様とも連携し、ニーズに合ったサービスで拡大に努める」と語った。
新任を含む取締役15人が選任された。ライブ配信の総視聴数は990回、同時最高視聴者数は582人。来場株主数は336人だった。