高知県梼原町 防災みまもり実証開始 総務省
防災用に進化した「郵便局のみまもりサービス」の実証が四国支社(内田謙介支社長)管内の高知県梼原町で1月24日、総務省「郵便局等の公的地域基盤連携推進事業」としてスタートした。これまでのみまもり用端末とアプリケーションを高度化し、〝バッテリー搭載〟により、停電時も24時間超使える。緊急時、郵便局や町がテレビ電話機能で住民の安否確認や避難誘導する際に、応答の有無が管理画面で確認できる〝自動見守り機能〟も追加された。コンパクトな端末は避難所にも持ち運びやすい。実証は①費用対効果②情報伝達性③操作性――等の課題を探り、全国のモデルケースを目指していく。
停電時も安否確認や避難誘導
総務省実証事業は、スマートスピーカーによる郵便局のみまもりサービスを試行・実用している自治体から「停電時に防災無線情報も流れるようにしてほしい」との要望に応えた。アイラ㈱の「ささえiコミュニティ」向け専用端末hoamを使い、災害発生時にアラート発信や安否確認、ビデオ通話を用いた状況確認などで自治体と郵便局が連携し、きめ細かなサービスを提供する。
端末は町役場に1台、梼原局(山﨑隆信局長)、松原局(梅下仁志局長)、四万川局(山﨑斎局長)、越知面局(片岡卓造局長)の4局に1台ずつ、24世帯(主に高齢者宅)に計24台設置。約1カ月の実証期間に防災訓練のほか、4局と町から防災情報も複数回発信する。
災害時の無線滞りなく
実証開始セレモニーで、総務省四国総合通信局の田口幸信局長(写真上)は「災害時に特に支援が必要な高齢の方が、使い慣れた端末で災害情報が瞬時に分かり、自治体は少ない職員の中、郵便局と連携し、多くの高齢者の方を避難誘導できる。集落が分散する山間部で成功すれば全国展開できる」と期待感を示した。
梼原町の吉田町長(写真上)は「町の高齢化率は48%。住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、全戸に設置し、IP回線による情報発信や見守りも実施しているが、役場は町に一つだけ。身近な郵便局は六つある。実証は高齢化の進む山間地では非常に有益」と感謝を表した。
四国支社の内田支社長(写真上)は「町とは包括連携協定締結以降も連携を深めてきた。実証で、4局は災害想定だけでなく、オンラインで住民の方々の生活状況確認、お役立ち情報も発信する。安心・安全の拠点という郵便局の役割に精いっぱい取り組む」と強調した。
平時は生活確認、お役立ち情報発信
立ち会い会見で、日本郵便地方創生推進部の山田協部長(写真上㊧)は「日常のみまもりは局長の皆さんが比較的空いている時間に工夫する。町民の方々がどのタイミングでどのようなことを期待されるかをまとめたい」と話した。
総務省郵政行政部企画課の山本和弘課長補佐(同㊨)は「災害時に知らない人が画面に登場するより、身近な郵便局長の方が住民の方も安心できる。例えば年金支給日や取扱商品もお知らせできる。費用や情報伝達、操作性等の課題を抽出したい」と語った。
梼原局の山﨑局長(写真上)は「高齢の方が多い山間部で郵便局がどうお役に立てるか、実証を通じて課題解決に取り組みたい」と意欲を示した。
〇デモンストレーション(NTTデータ経営研究所)
【災害時の安否確認(郵便局)】
端末 突然黄色い画面が出て、大きなサイレン。「緊急情報があります」
山﨑局長 (ビデオ電話)「気象台から大雨警報が発表され、土砂災害が発生しやすい状況です。地鳴りや地響きが聞こえたり、感じたりしませんか。ふれあいセンターに避難所を開設予定です。開設されたら、改めて通知を発出します」
住民 「確認しました」をタッチし、「分かりました」と答える。
デモ終了後の住民の方の感想 操作は簡単だった。説明も分かりやすかった。
【平時の見守り(郵便局)】
山﨑局長 (ビデオ電話)最近の体調はいかがですか。端末には健康体操の画面がありますよ。何かあったら郵便局にいつでもおっしゃってくださいね。
住民 特にないけれど、薬を飲み忘れに気を付けなくちゃね。
【平時の見守り(AI)】
ぽすくま こんにちは。ぽすくまが訪ねてきましたよ。お薬はもう飲みましたか。分かりました。ぽすくまが記録しておきますね。
住民 画面をタッチ。はい、いいえで答える。