郵政政策部会 ユニバーサルサービス水準を議論
総務省情報通信審議会郵政政策部会(米山高生部会長)は7月27日、ユニバーサルサービスとして全国に約18万本設置されている郵便ポストの新たな時代における活用法や移設等を含む存在価値を審議した。甲田恵子委員(㈱AsMama社長)から「郵便ポストを郵便局の対面窓口に誘導するコミュニケーションの役割に活用できないか。地域住民の方々が相談できる行政や業者につなぐ役目を受託する事業展開を」などの意見も挙がった。日本郵便の五味儀裕執行役員は「ポストの利便性との兼ね合いで、約2万4000の郵便局に来客いただける付加価値を訴求できるサービス展開も考えたい」と応じた。(写真は総務省資料から)
郵便ポスト、窓口に〝つなぐ〟役割も
審議会冒頭、日本郵便郵便・物流業務統括部の古閑圭一部長から郵便ポストの歴史と現状等について、人口密度と郵便ポスト本数は比例する一方、人口当たりの本数や1本当たりの世帯数は反比例する傾向にあり、取集効率化に向けてポストの差し出し状況を可視化する実証実験を2021(令和3)年度以降、数回実施したことなどを説明。古閑部長は「郵便物減少トレンドが進む中、郵便ポストを有効活用できる道を探らなければ厳しい」と強調した。
荒牧知子委員(公認会計士)は「ヤマト運輸の営業所やコンビニなど、ポストと違う窓口も連携できる仕組みもダイナミックに進める必要がある」と発言。
横田純子委員(特定非営利活動法人素材広場理事長)「集荷にデジタル活用は良いが、ほとんど投函がない地域に、そこまで資金を投入すべきか」と疑問を呈した。
甲田委員は「生活者の視点から①高齢者の多い地域では対面的なコミュニケーションが重要。局窓口への誘導によって、高齢者と対話する機会を増やすことで、使われるポストとあまり必要のないポストを精査②将来は自動運転やドローン活用で郵便物を回収し、人件費削減③住民の相談窓口につなぐ役割を郵便ポストに持たせた新たな事業展開――の3点を提案したい」と述べた。
米山部会長(写真上)は「ポストにバーコードを貼って、地図や生活情報をスマートフォン等で読み取れる形を作り、コミュニティーを結び付ける場としてのポスト利用の可能性もある。郵便局全体として、地域からの愛され方や愛着が薄れているとの話も聞く中、ポスト一つとっても、好きになってもらえるような努力が大事ではないだろうか」と指摘した。
日本郵便の五味執行役員は「新しい時代におけるポストの役割の訴求は極めて重要。『よろず相談窓口』に〝つなぐ〟ポストの役割も貴重なご意見。フリマ商品含め、多様な変化を見据えることも重要だ。自動運転やドローンは、配達技術は進んできたが、集配技術は現段階では難易度が高い」などと語った。
柘植芳文総務副大臣(写真上)は「郵便ポストはお客さまが郵便を差し出すツールとして郵便法に定められ、難しい問題もあるが、活用して収益を上げる構造はできないのか。他企業から広告等に活用したいなど、さまざまな要望があるが、日本郵便も厳しい規制があって認めていない。少し弾力的に考えていけば、国民の大切なポストを現行維持できる。ポストは郵便サービスの根幹だ。民間企業として、サービス水準も考慮しなければ、ユニバーサルサービスを担保できないことも国民の皆さまに投げ掛け、議論を深めていただきたい」と総括した。