郵政課題の意識合わせ始まる 郵活連
自民党の「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(山口俊一会長)は6月9日、郵政事業の現況を振り返り、法制度等の見直しが必要か否かを議論する役員会を、少人数・非公開で開催した。
PT前身の意味合い込め
山口議連会長が①郵政三事業の堅持②郵便局ネットワークの維持――のために「改正郵政民営化法見直しPT(仮称)」を立ち上げる方針を受けて、PT前身の意味合いも込めて行われた。宮下一郎衆議院議員や宮沢洋一参議院議員が初めて議論に加わった。
議論は、各議員の郵政事業に対する問題意識や理解度にばらつきがあることから、現況の認識共有のために、過去約15年の振り返りから開始されたもよう。
瀬戸隆一衆議院議員は「課題は山積していると見られるが、まずは勉強会のような形で議論が始まった」と話す。
議連事務局次長の国定勇人衆議院議員は「ユニバーサルサービスの義務を果たすには公社に戻した方がよいが、現実的はそうはいかない中で郵便局ネットワーク維持のためには、何らかの手を施さなければジリ貧に追い込まれる。法律や制度を改正し、財政を補強する形を創らなければいけないだろう」と語る。
3月の郵活連総会では、長谷川英晴参議院議員が「金融2社の売却益をユニバーサルサービス維持に使うべき」と意見を呈した。
議連事務局長の柘植芳文参議院議員(総務副大臣)は「社会構造が大きく変化したことを前提に郵政事業を考えなければいけなくなった。改正法には隙間がある」と指摘する。
6月1日の郵活連役員会では、議連副会長の古屋圭司衆議院議員が「郵政事業の将来を考えるために、局長会と会社が意見交換会を頻繁にやってほしい。信頼関係に基づいたコミュニケーションが取れていないのではないか」と発言し、その際、日本郵政の増田寬也社長は「意見交換を行う」意思を表明した。
2012(平成24)年に議員立法として成立した改正法は、党派を超えて多くの議員が関わった。公明党の斉藤鉄夫衆議院議員(国土交通大臣)は「改正法は時間がない中で作った法案のため、細部はじっくりと見直した方がよいと思う」と強調。
立憲民主党の奥野総一郎衆議院議員は「改正法では、金融2社の株式50%売却以降は経営自由度も上がると見通されていたが、現況は厳しい。これから、どう生きていくのかは課題だ」と語っている。
郵便局ネットワーク維持のための交付金も作られたが、2023(令和5)年3月期決算を見ると、交付金額は前年度比で101億円減少している。