松本大臣・柘植副大臣・中川政務官 名古屋市視察
総務省の松本剛明大臣、柘植芳文副大臣、中川貴元政務官は6月29日、日本の中央に位置し、勢いを増す中部圏の名古屋市内を視察する中で、JPタワー名古屋や名古屋西局(加藤正士局長)を訪れ、郵便局長8名と意見交換会を行った。総務省から藤野克前郵政行政部長、日本郵便から東海支社長の根岸一行常務執行役員、五味儀裕執行役員も意見交換会に出席した。
〝心つなぐ〟 郵便局長と意見交換
郵便局長との意見交換会で、松本大臣は「リアルとデジタルの融合を目指す中で、局窓口は、なくてはならないリアルの役割を担っている」と強調。柘植副大臣は「局窓口は用がなくても立ち寄りやすい場として、敷居をできるだけ低くしていてほしい。地方に行けばいくほど、コミュニティーの役割が郵便局に必要だ」と指摘した。
地元局長からは「窓口には、デジタルについていけず悩み、聞いてこられるお客さまも多い。郵便局がもっと公共サービスをフォローできる新しい形を創っていただきたい」などの要望もあった。
松本大臣「リアルとデジタルの融合、心の拠点が郵便局」
柘植副大臣「地域コミュニティーとして立ち寄れる場に」
郵便局長「公共サービスをフォローできる新たな形を」
(左から)松本大臣、柘植副大臣、中川政務官
藤野前郵政行政部長
意見交換の冒頭、松本大臣は「郵便局は人々をつないでいる。地域にとどまらず、大きなつながりを含めて大切な役割を果たされている。地元局長の皆さんとの接点でも感じてきたが、柘植副大臣と一緒に仕事をし、私も中川政務官も多々感じるようになった。暮らしに必須の郵便、貯金、保険だけでなく、デジタルも物流も全て生活に欠かせない」と述べた。
また、「地域による隔たりなくユニバーサルサービスを提供いただくために、総務省は郵便局の役割をしっかりとサポートしなければいけない。マイナンバーカードの申請から交付まで含めて、法や制度の改正で郵便局に公共的な役目を今、増やしている」と語った。
「DXの最前線の取り組みも拝見したが、デジタル化も効率的に進めていただいた上で、郵便も物流も人間がリアルだからこそ生身のものが必要。単なる情報はネットで伝えられるが、人の心は手紙や対面などリアルでなければ伝わらない。郵便局はまさにデジタルとリアルの接点の仕事をされている。お願いすることが増えてくると思う。ぜひ意見を伺いたい」と呼び掛けた。
意見交換会には、単マネ局から名古屋西局の加藤正士局長、名古屋中央局の石野淑子局長、中村局の岩塚利浩局長、エリマネ局から名古屋市北部地区連絡会の加藤芳隆統括局長(名古屋福徳)、加藤宏副統括局長(名古屋星丘)、森岡宏至副統括局長(名古屋藤丘)、山田一登部会長(名古屋緑丘)、山本みどり副部会長(名古屋今池)の8名が出席した。
名古屋西局で大臣らは、2017(平成29)年に日本郵便初のオープンイノベーションプログラム「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」で最優秀賞を受賞した㈱オプティマインド(松下健社長)の「AIを活用した配送業務効率化」を視察した。
記者会見 まちづくりは〝産学官金〟で
――中部経済連合会(中経連)と懇談され(写真上)、地域のスタートアップ企業育成のために総務省はどのようなことに取り組まれますか。
松本大臣 中経連との意見交換で、次世代を意識して育てなければ持続的に発展できる経済が生まれない危機感からスタートアップを応援すると聞き、感銘を受けた。
スタートアップイノベーションの育成を鍵として、Z世代(10~20代の若者)の拠点となるまちづくり、地域形成をしたいと強い意志を持たれ、参考になった。〝産学官金〟の連携が重要との認識を共有したい。
総務省のローカルスタートアップ支援制度もそうだが、今政府全体としてスタートアップが一つの鍵と認識する中、政策展開において参考にしていきたい。
――名古屋西局の視察と意見交換で印象に残ったことは。
松本大臣 ドライバー確保が難しく、若い世代が新しい仕事を求めて転職をされる中、AIでベテラン並みの仕事を多くの人が共有し、成果を上げる取り組みも拝見した。地域発スタートアップ企業の若い起業家が日本郵便と組み、世界に通用するシステムを創りたいと前向きに語られ、心強く思った。
局長の皆さんは、地域の状況を的確に把握されている。来局者との交流があってこそ分かる情報だ。ビジネス面だけでなく、拠点の意義を果たされている。
――郵便局でオンライン診療ができるようになりましたが、地域医療の中で郵便局を生かす考えは。(郵湧新報)
松本大臣 今年5月から、へき地等でのオンライン診療の場に郵便局も活用できるように、厚生労働省は制度を見直された。郵便局はマイナンバーカードの申請・交付や他行政サービスも含めて、公共的な役割をいくつも担っていただいているが、医療拠点としての役割も付加されることになった。
総務省も郵便局でのオンライン診療の実証事業をこれから始めていく。地域貢献の一環として、郵便局と医療の関係性の位置付けを、実証を通して見ていきたい。
総務省が財政支援
救急・災害医療センター(仮称)も
名古屋市立大学は、全市的な課題となる高齢化進行に伴う市内の救急搬送数増大や、南海トラフ巨大地震発生時の被災患者に対する災害医療、救急科専門医不足に対する人材育成に対応する機能強化を図るため、「救急・災害医療センター(仮称)」の建設を進めている(写真上は災害拠点病院のイメージ:名古屋市立大学の資料から)。これに対し、総務省は地方交付税での支援措置を行っている。
南海トラフ巨大地震んどの発災時に災害拠点病院となる名古屋市立大学の視察では、中田英雄副市長と郡健二郎大学理事長から総務省に感謝の意が評されるとともに、引き続きの財政支援の要望書が手渡された(同下)。