物流に開くUPUへ 臨時大会議(上)
UPU(万国郵便連合)は10月1日~5日まで臨時大会議をサウジアラビアの首都リヤドで開催する。UPUの最高意思決定機関となる大会議は4年に1度開催されるが、臨時大会議は、1874(明治7)年のUPU設立以来、1900(明治33)年に1度開催(スイス・ベルン)されたのみだったが、 越境電子商取引の拡大や国際物流市場における国際郵便の位置付け等、国際郵便を取り巻く環境が大きく変わりつつある中で、時代に対応したUPUの組織改革や国際郵便制度の改革を進めるため、ここ数年頻繁に臨時大会議が開かれている。(写真はUPUのHP画面)
臨時大会議のテーマ「UPUの開放」
直近の2018(平成30)年の第2回臨時大会議(エチオピア・アディスアベバ)、翌19年の第3回(スイス・ジュネーブ)に続き、2023(令和5)年は第4回目。
今回の臨時大会議のテーマは「UPUの開放」になるが、すでに年に2回開催されているUPUの理事会のほか、理事会の下部機関のタスクフォースや専門家チームで議論を積み重ね、その成果が臨時大会議で 決定される。
開放政策には三つのワークストリーム(取り組みの柱)があり、第1に掲げられるのはUPUの「組織の見直し」。物流を含む幅広い郵便関係者からの知見を得ながら関係者が共存共栄し、郵便セクターが発展する方向を導き出すことを目指している。
UPUの組織は、大会議の下に主に政府機関が参加する管理理事会と、主に郵便事業体が参加する郵便業務理事会の二つの理事会がぶら下がり、管理理事会でUPUの運営・制度等に関する事項を決定し、細かい郵便のオペレーションに関する事項は郵便業務理事会で議論される。
大会議と二つの理事会での議論への貢献を図るための組織として諮問委員会 があり、郵便事業体以外の郵便関連の組織(電子商取引、クーリエ)、技術・ソリューション等の関連組織(アマゾン、グローバル・エクスプレス・アソシエーション〈FedEx、UPS、DHLを会員とする団体〉) 等、日本からも東芝、ACSLの2社 が参画する。
今回、諮問委員会の権限を拡張し、UPUの議論での助言や意見具申だけでなく、管理理事会の承認を前提に大会議への提案も可能とする等、一層貢献を果たせるよう条約改正を行う。
総務省郵政行政部国際企画室の内藤頼孝室長は「今回の臨時大会議は2022(令和4)年1月から就任された目時政彦事務局長にとっての最初の大きな会議であり、ぜひ良い成果を実現したい」と意欲を示している。