社説 〝窓口力〟は宝物
2023.06.06
群馬県前橋市(山本龍市長)の市内全46局で昨年11月から今年1月末までの3カ月間行われたMaeMaaS(まえまーす=前橋版次世代型移動サービス)の仕組みを活用したマイナンバーカードと交通系ICカードをひも付ける総務省の実証結果に、目からうろこの思いがした。(写真はnolbéを手にする山本市長)
誰一人取り残さないサービスを
2022(令和4)年度「郵便局等の公的地域連携基盤推進事業」の一つとして、4月12日の情報通信審議会郵政政策部会(米山高生部会長)で公表された。
市内全46局の窓口でnolbé(地域交通系ICカード)2000枚、Suica1000枚、合計3000枚を販売した結果、1年間の販売枚数をわずか3カ月で達成。MaeMaaSの会員登録は実証前の3カ月間と比較し、約3.72倍、Suica・地域交通系ICカードとMaeMaaSとの登録・連携は9.48倍、マイナカードと交通系ICカードとの登録・連携は5.24倍と急増した。
交通系ICカードを購入した市民の2割がMaeMaaSを知っていたが、7割は局窓口に置かれたチラシで知ったことも総務省のアンケート調査で明らかになった。
郵政行政部の松田昇剛企画課長は「身近で安心感のある郵便局社員がスマートフォンの操作に詳しくない方のサポートをしたことも、高齢者の方々へのMaeMaaSの理解や促進につながった。バイタル測定も郵便局を訪れたついでに利用でき、健康ニーズに合う。自治体の施策に郵便局をメンバーに入れることは非常に有効で、誰一人取り残さないサービス提供が期待される」とまとめた。
窓口の力も日本郵政グループにとって、まさに〝宝物〟。持ちぐされにしてしまうようではもったいない。