生きる!地域と 富山県呉西地区連絡会
障がいのある方のアート作品を詰めた箱型ギャラリーが郵便局を巡る――。富山県呉西地区連絡会(山口正浩統括局長/高岡若富)では2020(令和2)年度に、富山県障害者芸術活動支援センター「ばーと◎とやま」(米田昌功代表)と共催で「ポフ・アート・プロジェクト」の展覧会を15局で巡回。今年は作品を一新し、5月16日に開局した下村局(東浩一局長)で巡回がスタートした。プロジェクトを推進する中佐也佳副統括局長(高岡能町)と米田代表、臨床美術士の前田昌子さんに話を伺った。(写真は左から前田さん、東局長、中副統括局長、米田代表)
郵便局が芸術・文化の拠点に!
下村局に足を踏み入れると、展示された作品の一点一点が鮮烈な光を放ち、ストレートに胸に迫ってくる。
東局長は「興味を持って来局される方も多い。展示でお客さまの心が癒やされ、会話も弾む」と喜びを見せる。
中副統括局長は「作者は知的障がいのある方や自閉症、適応障害の方たち。自分で感じたままに表現しているから素晴らしいし、驚きや発見がある」と感嘆する。
障がい者アート展8000人鑑賞
各局を巡回する際には、地元の支援学級に通う生徒の作品等も併展するなど連携して取り組み、これまでに約8000人が鑑賞。各地で多くの感動の声が寄せられ、呉西圏域の高岡・射水・氷見・砺波・小矢部・南砺の各市長も称賛した。
30年以上にわたり、障がい者アートを支援している前田さんにその魅力を聞くと、「テーマも画材も紙の大きさも自由。皆それぞれに個性が輝いて、思いがあふれている。地域の身近な郵便局で多くの方に見ていただけるのは本当にうれしい」と顔をほころばす。
開催のきっかけは、支援センターに近い伏木古府局の邑本友明局長が「郵便局でお役に立てることはありませんか」と米田代表に声を掛け、局内で展示を始めたことだった。
米田代表は「局長たちの熱い気持ちに動かされ、箱型ギャラリーも完成させた。今回は小矢部市の『あけぼの作業所』20人の作品を展示している。郵便局は地域の人が集まって交流したり、新しい文化に触れたりする所だと思う。回を重ねるごとに広がっていければ」と意欲を示す。
同地区連絡会はこのほか、南砺市立福光美術館が主催する「なんと版画年賀状公募展」で「郵便局長賞」を贈るなど、さまざまな貢献活動を続けている。郵便局が地域の文化・芸術の支援を通し、人と人の笑顔をつなぐ拠点として、新たな価値を生み出す場となっている。