ゆうちょPay導入を自治体に推奨 神奈川県西北地区連絡会
住民票等も含めた公金支払いを受け付けるキャッシュレス端末を導入する自治体が急速に増えている。都内23区では現在、約半分が自治体窓口にキャッシュレス端末を導入。将来的には固定資産税や市県民税等もキャッシュレス払いできるようになるともいわれているが、導入段階ではゆうちょPayを使える端末と使えない端末がある。日頃、自治体と連携を深める局長が郵便局の本質的な将来を見据え、ゆうちょ銀行と共に自治体の首長や担当者に「ゆうちょPay」を使える端末導入を勧める動きが出ている。
公金について市民の利便性高める
6行政区(相模原市・座間市・海老名市・厚木市・愛川町・清川村)で構成される神奈川県西北部地区連絡会(細谷勝利統括局長/相模原古淵)は、自治体担当局長とゆうちょ銀行法人担当が連携し、公金について市民の利便性を高める観点から、自治体にキャッシュレス化を、将来的な給食費や教材費等の教育関連費等の支払いも視野に入れながら提案。その結果、住民票等は、厚木市が昨年キャッシュレス端末を導入し、海老名市と相模原市が今年から導入に踏み切った。
ただし、厚木と相模原はゆうちょPayが使えるが、海老名の端末は使えない。このため、細谷局長が海老名市長に直接依頼したことで、ゆうちょPay導入に向け進展している。愛川町と清川村も導入に向けて話が進み、座間市も近日中に交渉をスタートさせる。
同県内政令都市の横浜市や川崎市はすでに住民票等のキャッシュレス端末は導入しているという。
自治体に広がるキャッシュレス端末
昨年9月にキャッシュレス端末の運用を出張所含めて11カ所で開始した厚木市の場合、市民が窓口で自ら操作し、ゆうちょPayなども使いながら住民票や印鑑登録証明書も受領。固定資産税や市県民税の手数料等の部分は現在、業者と話を進めている。
細谷統括局長は「郵便局の将来を考えたとき、キャッシュレスを恐れるのでなく、むしろ先取りする動き方をしていかなければ時代に取り残される。包括連携協定などで自治体との連携を深めているのだから、局長たちで『市民サービス向上』の一環としてキャッシュレス端末導入を勧め、ゆうちょPayを広げる手伝いをすべきだと思う。将来自分たちに還ってくる」と指摘。
郵便局の将来見据え推奨
また、「地方の郵便局では包括事務受託を進めていると思うが、私の局のようにまちづくりセンター(出張所)がすぐ近くにあるような局は必要ないが、県内でも人口約3000人の清川村のような地域は、郵便局窓口そのものにキャッシュレス端末を導入した方が住民の方々の利便性が高まる。これからは自治体との包括連携協定も、こうした部分に力を入れた方がよいのではないだろうか」と話す。
今年1月4日に施行された改正地方税法に基づく「指定納付受託者制度」により、住民が自治体に公金を支払う際に、クレジットカード会社など間の業者が入る立て替え払いができるようになったことで、自治行政のキャッシュレスが急速に進むことが予測されている。
政府は2025(令和7)年までにキャッシュレス決済比率を倍増する考えのもと、その一環として総務省の「マイナポイント事業」等の普及促進に向けた取り組みが進められている。
一方、ゆうちょPayを使える店舗は現在33万店舗となった。郵便局が使える店舗を開拓していけば、店舗(自治体も)からゆうちょ銀行が受け取る手数料は日本郵便とシェアされ、両社の企業価値向上につながっていく。