「共創の未来へ」郵便局設置の自動販売機 特産品販売や食品ロス回避で社会貢献
郵便局に設置した自動販売機で特産品を販売し、好評を博している事例がある。信越支社(大曽根和之支社長)管内の新潟県長岡市深沢町にある深沢局(永塚達也局長)は、地元の長岡食肉センター(林又一社長)と連携し、2年前から生肉の自販機を敷地内に設置している。
食肉の自販機を設置
深沢町は山間部にあり、ニシキゴイの生産で有名。しかし、高齢化が進み、地域にスーパーやコンビニが少ないため買い物難民が問題になっている。
そこで、食肉センターの林社長が川崎道夫前局長と相談し、食肉の自販機を食肉センターと深沢局に設置することになった。
自販機では、国産牛カルビや国産牛肩ロース、国産牛ミックス、生ホルモンなど、豚や牛の新鮮な肉を24時間購入できる。林社長は「わざわざ遠方から車で購入しに来る人もいる。地域貢献にもなっている」と効果を説明。永塚局長も「補充しても売り切れる時がある。お客さまが帰りに購入されるなどコミュニケーションのきっかけにもなっている」と設置の効果を笑顔で語る。

南関東支社(田村浩紀支社長)管内にある川崎市麻生区の麻生局(木本健二局長)では、「地元の〝隠れた名産品〟を郵便局で」と、2022(令和4)年12月から局前のホ゜スト横に「川崎イイモノ直売所」の自販機を設置している。(写真上)
販売しているのは、㈱熱源(船崎帆洸社長)が、区内で戦中に使われていた防空壕を活用して栽培している「きくらげ」。
熱源の小山仁美広報担当は「ユニークな取り組みとしてテレビ番組でも取り上げられ、地域の活性化につながっている」と話す。
一方、社会的課題に対応した自販機も話題になっている。本来食べられるにもかかわらず捨てられてしまう「食品ロス」が社会的な課題となっている中、ネスレ日本㈱は、みなとく㈱が開発した冷蔵機能付きの無人販売機(写真下)を東京都内の新宿局(山﨑博文局長)に設置し、納品期限を超過しただけの「ネスカフェ」や「キットカット」といった商品を割引価格で販売している。

また、沖縄県宜野湾市では、市との包括連携協定に基づき、沖縄支社(金城努支社長)の宜野湾局(宮城哲也局長)に、高齢者の徘徊対策へ「みまもり自販機」を設置している。高齢者が「みまもりタグ(発信機)」を身に付けて外出した際に、自販機の近くを通ると、その位置情報が保護者のLINEに通知されるシステムだ。
さらに、南海トラフ巨大地震など大災害が高い確率で想定される今、防災拠点として期待される郵便局へ設置が望まれているのが、災害対応型自販機だ。地震などの際に、飲料を無償提供できる自販機で、平時は通常の自販機として機能し、災害時には被災者や帰宅困難者に生きる糧となる飲料を供給できる。他にも、防犯や災害時に有効なライトや電池、ラジオなど、防災グッズを販売する自販機もある。
こうした災害対策向けの自販機は公共施設などでの設置が進んでいる。