医療法改正 オンライン診療、郵便局に期待

2025.09.10

 「郵便局を活用したオンライン診療」の動きが本格化している。政府は継続審議になった医療法改正案に「オンライン診療受診施設」を創設し、次期臨時国会での成立を目指す中、診療所が遠方で医師不在や少ない地域で、郵便局が受診施設となることに期待が寄せられている。
 総務省の牛山智弘郵政行政部長は「人口減少が進む日本で全国約2万4000の郵便局ネットワークは地域社会の重要な生活インフラである。特に郵便局を活用したオンライン診療は今後、地域医療を適切に支える観点から期待が高まっている。我々も後押ししたい」と語った。

総務省実証 コミュニティ・ハブとして

 内閣提出法案として審議中の医療法改正案は、初めて法律に「オンライン診療」を明記。あいまいな概念のまま動かざるを得なかったオンライン診療の位置付け明確化する狙いがある。
 患者が診療を受ける場として「オンライン診療受診施設」を創設し、一つの施設で複数の医療機関のオンライン診療を提供できることになる。オンライン診療の責任は、実施医療機関の医師が負う。
 郵便局は、特に離島や中山間地域等の医師がほとんどいない地域でも社員が常駐しており、必要な機材を設置できるスペースも確保しやすいことから、受診施設として活用が期待される。

住民支援×自治体窓口業務でオンライン診療

 6月には「公益的なオンライン診療を推進する協議会」が発足。企業では日本郵政と日本郵便が参画しており、団体では全国郵便局長会も名を連ねている。
 同協議会にも出席した総務省の牛山智弘郵政行政部長は「多岐にわたるオンライン診療に関わる関係者の方々が一堂に会し行われた協議会は、郵便局のオンライン診療を進めていく観点からも大変ありがたい意義のある枠組み。総務省もこうした動きに積極的に参画していきたい。また、今年度もオンライン診療を含んだ住民支援サービスと、自治体窓口業務の行政サービス等を一体的に提供する〝コミュニティ・ハブ〟として、郵便局をさらに活用する実証事業を行いたい」と意欲を示している。
 一方、厚生労働省は2026(令和8)年度概算要求で、オンライン診療を郵便局等の施設に導入する際に、自治体が補助金として活用できる「へき地医療拠点病院運営事業」の増額も視野に入れながら検討中だ。
 厚労省総務課は「診療所が近くになく、オンライン診療の場として活躍する郵便局も徐々に出てくると思う。住民の方にとっては近い場所が良いに違いない。ぜひ郵便局には受診場所の提供施設になっていただきたい」と話す。