インタビュー 全国簡易郵便局連合会 吉田好美理事
直営局ではできることが、簡易局ではできない。〝同じ郵便局なのになぜ〟とお客さまから言われるたびに思い悩む簡易局長も少なくない。全国簡易郵便局連合会の吉田好美理事(石川県連会長/山島簡易局)はこれまで、県内全70局に足を運んで簡易局長たちの声に耳を傾け、「お客さまの笑顔のために、今できることをやっていくことが大事」と温かな励ましを続けてきた。
簡易局活性化のため、今できることを
――簡易局の現状をどう感じていますか。
吉田全簡連理事 世の中はキャッシュレス化が進むが、来客されるお客さまは通帳の引き落としも心配だと、現金払いの方がまだまだ多い。過疎化が進み、銀行の支店の統廃合も増えており、「最後の最後は郵便局、残っといて」と切実な声を聞く。来年1月からの各種ゆうちょ商品・サービスの料金改定で、窓口業務が大きく変わることは避けられない。
一方で、お客さまが来られても簡易局で取り扱えないものには、謝ることから始まり、遠い直営局を案内し、申し訳なく思う。取扱内容は平行線のままで良いのか、本社との意見聴取会や検討委員会等、今後の展開に期するのは簡易局に従事する皆さんの思いだ。
――地方理事として心掛けてきたことは。
吉田理事 やはり、「対話と情報の共有化」が重要だと思う。他の県連の良い取り組みを知ったら、北陸の皆さんにも周知してきた。来年の総会で県連の会長任期10年で引き継ぎとなる。簡易局の活性化のために、自分ができる精いっぱいのことをやっておきたい。
――山島局の淵源を教えてください。
吉田理事 1916(大正5)年に開局し、今年で105年。もとは旧特定局だったが局種変更して85(昭和60)年、引き続き簡易局として再出発した。開局100周年の折には小学校や保育園に図書券を寄贈し、公共施設の備品購入助成を行うなど、感謝の思いで地域活動に励んできた。
――簡易局の存在価値とは何でしょうか。
吉田理事 簡易局は〝地域の資産〟だと思う。その土地の歴史や大事なものを伝承していく役割がある。昨年6月には、能登地区で15局分の風景印を作っていただいた。揚浜塩田や千体地蔵などがデザインされたもので、日本全国の皆さんに、能登にはこんな名所があると知ってもらえるきっかけになった。
――簡易局長の皆さんに訴えていることは。
吉田理事 私たちがやるべきこと、できることがある。自局の補助者雇用についても、自分で「この人」と思う人を見つけ、育てることだ。意欲をもって、補助者が局長になる事例もある。石川県では補助者を共同雇用しており、緊急時においても対応が取れ、防犯上も効果的だ。各ブロックの横の連携が強く、支えていただいている。
各局、さまざまな状況があると思うが、自助努力を忘れてはいけない。コロナ禍や過疎化で大変な思いをしているのは全国も同じ。来ていただけるお客さまの笑顔のために、今できることをやっていくことが大事だ。