発災時の物流を担保 JPロジスティクス

2025.04.08

 曝露人口が能登半島地震の約360倍と想定される南海トラフ等の巨大地震に対し、日常的に備えながら災害時には滞りなく備蓄品等を輸送できるよう、JPロジスティクス(安達章社長)が「自治体向け防災事業」を本格的にスタートした。2023(令和5)年2月に災害協定を締結した品川区との好事例を広げることで、安全・安心な地域づくりに貢献する。備蓄品の仕分けや配送、倉庫の管理や保守点検、防災訓練まで、防災事業をパッケージ商品として提案。業務委託契約のもとで災害時の物流を担保し、命を守り、地域コミュティーの維持を目指す。(写真はJPロジスティクスが手がける防災事業)

備蓄品から訓練も、自治体を総合支援

 同社は昨年12月に豊島区とも災害協定を締結。1月30日には日本郵便本社を通じ、末武晃代表主幹統括局長をはじめ、13人の主幹統括局長にも事業内容を説明した。現在、江戸川区、世田谷区、中央区等が導入を検討中。豊島区との防災協定締結式では、高際みゆき区長が「災害時の輸送に物流のプロに支援いただけるのは心強い」と語っていた。

在庫管理リアルタイムで共有


JPロジスティクス×品川区の防災事業

 能登半島地震時に、品川区から防災備蓄品の輸送依頼を受けたJPロジスティクスは1月10日と20日、道路崩壊により交通が困難を極める中、石川県輪島市に支援物資を届けた。この仕組みを全国に広げ発災時に役立てたい、というのが安達社長の想いだった。
 同社は関東から九州にかけて78拠点を有するが、災害協定を締結した自治体はそれら拠点と各自治体の備蓄倉庫とつなぎ、平時には賞味期限等による備蓄品の入れ替えを同社が受け持ち、発災時も平時の入れ替えと同じスキームで物資輸送を実行できる総合的な「防災事業」スキームを構築した。

国のシステムとの連携も

 事業の仕組みは、同社と自治体が災害協定を機に業務委託契約を結び、備蓄品の購入から保管、倉庫管理、棚卸しや清掃を含めた在庫管理システム、防災訓練のサポート、倉庫や物流拠点の診断・アドバイス等々のサービスを総合的にパッケージ化。備蓄品の移動や保管等在庫管理情報をリアルタイムで共有し、CSVデータによる国のシステムとの連携も可能とする。
 安達社長は「多くの自治体に防災事業を知っていただくためにも、ぜひエリマネ局長の皆さんのお力添えをいただきたい」と話している。