日本郵政グループ2025年3月期中間決算
日本郵政グループは11月14日、2025(令和7)年3月期中間決算を発表した。グループ連結の経常収益は5兆5119億円(前中間期比1.9%減)。経常利益は4633億円(同38.2%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は1394億円(同16.0%増)の減収増益となった。純利益192億円増の主な要因は、金融2社の増益およびアフラック・インコーポレーテッドに係る持分法投資利益。不動産事業も好調で営業利益101億円を計上した。
金融2社の増益と持分法投資利益等が支えに。不動産も好調
通期業績予想2800億円に対する進捗率は49.8%。中間配当は1株あたり25円。自己株式は10月末時点で1981億円(上限3500億円の56.6%)を取得した。日本郵政の増田寬也社長は「グループ連結の通期見通しは郵便料金改定の影響が不透明なため、据え置いた」と語った。
日本郵便 荷物は共創で反転、経費増も
日本郵便(連結)の中間決算は増収減益。営業収益は1兆6413億円(前年同期比614億円増)、営業損益は626億円の損失(同424億円減)。経常損益は651億円の損失(同422億円減)、中間純損益は683億円の損失(同472億円減)を計上した。
郵便.物流事業は郵便の減少は続くが、荷物が増加し、取扱数量はほぼ横ばい。ゆうパックは楽天グループとの連携強化に伴い取扱個数は2億7000万個(同1.1%増)と堅調。ゆうパケットは「ゆうパケットポスト」増と「クロネコゆうパケット」増で2億6000万個(同18.6%増)の伸びを示した。ゆうメールも「クロネコゆうメール」の取り扱いにより、15億1500万個(同12.4%増)と好調だったが、営業収益は郵便収入減により、9392億円(同23億円減)。人件費の同163億円増、経費の同251億円増も影響し、営業損益は947億円の損失(同439億円減)となった。
郵便局窓口事業の営業収益は、郵便手数料が増加に転じ、同14億円増の962億円となったが、銀行と保険の手数料減少が続き、同55億円減の5084億円。「その他収益」は、物販事業が162億円(同5億円増)、提携金融事業が43億円(同4億円増)となり微増した。人件費は社員減等により、同23億円減少したが、経費が同61億円増となり、営業費用は同37億円増の4866億円となった。その結果、営業利益は217億円(同93億円減)となった。
国際物流事業の営業収益は、フォワーディング事業(貿易事務や輸送手配に付随して発生する専門業務)収入の増加により、2649億円(同519億円増)と増収。ただ、営業費用も同508億円増となり、営業損益(EBIT)は45億円(同11億円増)と前中間期年期と同水準となった。
日本郵政 の浅井智範専務執行役は「ゆうパックは厳しい環境下で楽天グループとの連携強化で反転し、微増。ゆうメールとゆうパケットはヤマトグループとの協業等で2桁台の伸びを示した」と強調した。
ゆうちょ銀行 通帳アプリ1200万口座
ゆうちょ銀行の中間決算は減収増益。連結粗利益は5284億円(前年同期比1506億円増)を計上した。資金利益(以下、単体)は4526億円(同1150億円増)で、外国証券利息が6198億円(同803億円増)と増益に大きく貢献した。役務取引等利益は780億円(同12億円増)と増加。通帳アプリ登録口座数は9月末で1200万口座(前期末比160万口座増)と伸びた。
親会社株主純利益(連結)は2228億円(前年同期比406億円増)で、通期業績予想を3650億円から4000億円に上方修正し、配当予想も52円から56円に修正した。新村真専務執行役は「運用収益の増加が見込めるため、上方修正させていただく」と述べた。奈倉忍常務執行役は「通帳アプリは機能を高め、大変好評いただいている」と説明した。
かんぽ生命 個人保険の新契約件数倍増
かんぽ生命の中間連結決算は減収増益。個人保険の新契約件数は一時払終身保険の販売増加により52万1000件(前年同期比26万7000件増)と倍増した。新契約年換算保険料は1130億円(同677億円増)と増えた。
日本郵便への委託手数料は591億円(同15億円減)と減少した。危険準備金の超過繰入の終了等に伴う臨時損益の改善およびキャピタル損益の大幅な改善により、経常利益は1668億円(同675億円増)と増加した。
中間純利益は628億円(同124億円増)を計上。通期連結業績予想の当期純利益は790億円から1200億円に上方修正した。
EV(エンベディッド.バリュー)は新契約価値の増加等により、4兆334億円(前期末比683億円増)と増加した。
宮澤仁司常務執行役は「保有契約件数は1936万件と前期年末比1.7%の減少だが、新区分では前期末比0.4%減とほぼ横ばいで推移しており、早期の底打ち反転を目指していきたい」と意欲を示した。