総務省 郵便局のオンライン診療 山口県平郡局 離島初の実証
総務省の2024(令和6)年度「郵便局等の公的地域基盤連携推進事業」として、山口県柳井市の平郡局(棟居正樹局長)で離島での郵便局のオンライン診療が9月17日、いよいよ始まった。セレモニーで、山口県立総合医療センターの原田昌範へき地医療支援センター長は「郵便局と医療が組み合わさることで、全国の隅々まで医療が届いていくことに大変期待している。ぜひそこを広げていただきたい」と期待を寄せた。
+郵便局、全国隅々まで医療を確保
美しい景観が広がる平郡局のある平郡島は柳井港から船で1時間半。戦後は4000人近くが在住し、1987(昭和62)年以降に山口県から自治医科大学卒業の医師が常駐で派遣されていたが、令和に入り、人口が300人を切る状況となり、2021(令和3)年から非常勤医師が船で週1回派遣される形に切り替わった。
近年は移住の方を迎えたり、総務省の地域おこし協力隊も導入。直近の人口は223人で、高齢化率は約76%の島に医療機関はもとより薬局もなく、島に薬剤師が関わることはなかった。
診療はオンラインと対面の両輪で
実証事業開始セレモニーで総務省中国総合通信局の東政幸総務部長(写真上)は「離島や山間地中心に医療機関のない地域が増え続けている。離島は船便運航が天候等により左右され、難しい。モデルケースとして全国に広がってほしい」と述べた。
山口県健康福祉部の石丸泰隆次長(写真上)は「医療は周産期から人生の最終ケアまで全て。郵便局でのオンライン診療・同服薬指導は、住み慣れた地域で県民が生涯安心して暮らせる新しい形」と強調した。
柳井市の井原健太郎市長(写真上)は「人口が減っていく中でも、住み慣れた島に住み続けたいのが島民の方々。島の抱える課題は平郡だけではないが、解決する大きな先導事業になることを心から願っている」と感謝を表した。
山口県立総合医療センターの原田昌範へき地医療支援センター長(写真上)は「厚生労働省の実証事業に携わった際、気付いた結論は、オンライン診療は対面診療と組み合わせること。郵便局に加わっていただくことを期待している」と語った。
山口県厚生農業協同組合連合会の大亀浩司代表理事理事長(写真上)は「当会は県内三つの医療機関を運営しているが、医師の方だけでなく、医療職の確保が難しい状況。オンライン診療・同服薬指導は今後大きく発展し、主力になる」と指摘した。
中国支社の砂孝治支社長(写真上)は「医師不足の平郡局近隣の方々が便利に笑顔で暮らしていける地域づくりに貢献したい。ぜひ平郡局を島民の皆さまの安心の拠点として利用いただけるようお願い申し上げたい」と意欲を示した。
自見はなこ地方創生大臣から「ユニバーサルサービスを担う郵便局と医療関係者にとって、地方創生の新しい地域づくりの貴重なモデルの一つになると確信する」と祝電が寄せられた。
当日、初めてオンライン診療・同服薬指導を受診した50代の女性は「私の年代より年配の方だと、最初は機械に構えて、いつも通り答えられないかもしれない。郵便局であれば、違和感がなく慣れていけるように思う」と話していた。