郵便局を〝コミュニティーハブ〟に

2024.01.05

 総務省の情報通信審議会郵政政策部会(米山高生部会長)「デジタル社会における郵便局の地域貢献の在り方」が来年2月予定の答申に向けて、各委員の意見が活発化している。11月20日の部会では、郵便局の自治体事務包括受託等の課題を探るアンケート結果から費用対効果問題も浮上。東條吉純部会長代理から「実証が始まった郵便局のオンライン診療は公共性が高くビジネス的な展開の可能性も持つ」と語り、桑津浩太郎委員は「郵便局内に小コンビニ的な構造にできる枠組みを」と提案した。郵政行政部企画課の三島由佳課長は「郵便局はもっと地域の〝コミュニティーハブ〟的な機能が期待できる」と指摘した。

郵政政策部会 2月に答申へ

 総務省が今秋、全1741自治体に行ったアンケートは、6割弱の1006自治体からの回答が得られた。支所・出張所維持に困難を感じているのは219自治体。うち、郵便局に委託を実施、検討中は77自治体(35%)。
 一方、委託終了予定は16自治体で、費用対効果が見合わないことが理由に挙げられた。委託検討を断念した理由は「委託後も自治体側に事務負担が発生し、負担が大きく解消されない」ことも明らかになった。コンビニに設置されるオールマイティーなキオスク端末の場合、自治体に事務が全く発生しない。
 三島課長は「郵便局の持つ特長・強みは①人がいる窓口と物理的な局舎②地域住民の安心感③社員が各世帯に配達するビッグデータ④郵便ポストが地域貢献サービスの拠点となる可能性を持つ――の4点。郵便局に包括事務を委託する理由は、①コンビニ等が遠方②支所・出張所廃止――の二つが主な理由だった。
 来年10月から熊本県天草市が22カ所の出張所廃止に伴い、23局に出張所業務を委託する予定。郵便局の地域貢献業務は日本郵便が赤字にならないこと、自治体に負担のない形を要する」などとも説明した。
 東條部会長代理は「オンライン診療の横展開のためには郵便局と自治体をコーディネートする枠組みが必要」と強調。甲田恵子委員は「郵便局は機器操作等が苦手な高齢の方が人と会話できる。そうしたウェルビーイングにつながる役目も大事にしてほしい」と要望した。
 米山部会長は「マイナンバーカードは必ず更新手続きを要し、民間は郵便局しか認められていない。オンライン診療も過疎地や離島だけでなく、幅広な共通課題。報告書は類型化し、共通の地域課題も見える形を期待したい」と総括した。