インタビュー 全国簡易郵便局連合会 木原茂専務理事
2万4000の郵便局ネットワークの一翼を担い、過疎化・高齢化が急速に進む地域を中心に多く立地し、ユニバーサルサービス提供に重要な役割を果たしている簡易局の維持に向け、全国簡易郵便局連合会(全簡連)の木原茂専務理事は「会員の皆さんを縁の下で支えていきたい」と淡々と語る。
将来にわたって簡易局の安定運営を
――簡易局の存在価値について。
木原専務理事 簡易局は簡易郵便局法に基づき、日本郵便と業務委託契約した受託者が窓口サービスを提供する。受託者の9割は個人だが、高齢化による体調不良や高齢化等を理由に一時閉鎖が年々増加し、3月末現在で500局を超え、営業をしている局は3600を下回る。
日本郵便と簡易郵便局長代表者との意見交換会は、3年目を迎えた。簡易局を将来にわたって安定的・持続的に運営するため、現状における課題について日本郵便と共通認識を持ち、引き続き意見交換を実施していきたい。
――後継者対策などを教えてください。
木原専務 個人受託者の4割は65歳以上。過疎化に加えキャッシュレス化がコロナ禍で進み、来局者が減っている現状では、将来、後継者に引き継げるか分からないという受託者の方も多い。将来を担う50歳未満は個人受託者の2割未満だ。
全簡連では本年度、一時閉鎖対策に役立てられるようにとアンケートを会員に対して実施した。若い年齢層の方々が協力してアンケートを作成し、個人受託者の3分の2を占める女性の視点も顧慮して、一時閉鎖が増加する理由と考えられる項目を選択肢とした。
現在、集計分析中。身近で関心の高い項目からなっており、回収率は80%を超えた。
――「犯罪ゼロ」への取り組みは。
木原専務 新会員用研修テキストは、コンプライアンスの遵守と部内犯罪根絶についてのほか、簡易局制度や全簡連・(一社)全国簡易郵便局協会(全簡協)の仕組みなどを、新会員だけでなく既会員の学び直しにも使えるよう昨年度、特別チームが編さんした。昨年に続く「犯罪ゼロ」へ向け、本年度は各県で役員が講師となって小グループ防犯研修で試行し、来年度以降、本格的に使用する予定だ。
――経歴や心掛けていることは。
木原専務 2018(平成30)年から全簡協理事を2期務め、昨年の全簡連・全簡協総会で専務理事に選任された。正副会長とは平日夕方からひんぱんにウェブ会議を行い、定例は月1回、必要に応じて何度でも実施して意思疎通を心掛けている。