インタビュー 国光あやの総務政務官
総務省において郵政担当の国光あやの総務大臣政務官は、法改正後に郵便局で受託可能となるマイナンバーカード申請受付等事務について「市町村は、郵便局と一緒に住民利便性を高める、との姿勢が大事。郵政も自治も所管する総務省は〝今でしょ〟と働き掛けを進めていきたい」と語る。
今でしょ! 自治体と郵便局のマイナ連携
――郵便局と自治体や交通、医療等の「公共インフラ」との共創について。
国光政務官 約2万4000の郵便局ネットワークには、日本のあらゆる公共インフラ維持の役目を期待したい。医療との共創は、私も内科医で関心が高いが、愛媛県宇和島市における「スマートスピーカーを活用した郵便局のみまもりサービス」とタブレット端末を活用したオンライン診療のサポートを合わせた実装は、地元医師会からも喜ばれている。
総務省は、厚生労働省の制度見直しを踏まえ、今年度、郵便局でのオンライン診療の実証事業を実施予定だ。田舎では、病院がはるか遠方の方も多い。身近な郵便局でオンライン診療とオンライン服薬指導を受けられるようになれば、その地に安心して住み続けられる。
交通機関との共創では、駅と一体となった郵便局での駅窓口業務の取り扱いが、JR東日本の千葉県・江見駅に続いて同県の安房勝山駅のほか、しなの鉄道とも長野県・大屋駅で予定されている。
また、総務省の令和4年度郵便局等の公的地域基盤連携推進事業では、マイナンバーカードから読み取った市民情報を交通系ICカードにひも付けて運賃割引等を可能とする群馬県前橋市の地域MaaS(次世代型移動サービス)を市内46局がサポートした結果、見事な成果があり、市から県へと広がることを期待している。
肝心要の自治体との共創は、長野県泰阜村などで実施されている自治体窓口業務の包括的な受託は自治体側からもニーズが高い。
私も柘植芳文総務副大臣と一緒に、情報通信審議会郵政政策部会や総務省「郵便局を活用した地方活性化方策PT」などで、郵便局が地域で存在価値を高める共創が実現できるよう検討を進め、さまざまな取り組みを進めている。
――郵便局がマイナカード交付もできる法改正後は、どのように自治体に周知されますか。
国光政務官 今国会で成立した改正郵便局事務取扱法によって、郵便局と市町村をオンラインでつなぐことで、郵便局で本人確認を行い、マイナカード交付申請まで完結できる。
法成立後、市町村が郵便局や日本郵便支社と協議し、地方議会の議決を経て郵便局を指定する。意思決定の主体は市町村側にある。市町村は、郵便局と一緒に住民利便性を高める、との姿勢が大事。
郵政も自治も所管する総務省は〝今でしょ〟と働き掛けを進めていきたい。カード申請率が8割近くになり、民間では郵便局しかできない電子証明書関連事務もニーズが高まっている。
――デジタルについていけない方々への郵便局の役目は。
国光政務官 マイナカードの手続きをはじめ、誰もがアプリと生活を切り離せない時代になり、困っている声を地元でも聞く。
離れて暮らす多忙なお子さん方に問い合わせるのも気が引けるご高齢の方が、身近な場で気軽に教えてもらえるデジタルデバイド対策はまさに郵便局が役立てる分野だ。
すでに静岡県藤枝市内局でのデジタル支援や愛媛県内局の「愛顔(えがお)のスマホ相談窓口」等、好事例もある。デジタル化が進む中、郵便局のサポートで社会全体が明るく進んでいける。私も地元郵便局長の方々にお世話になり感謝しているが、柘植副大臣や長谷川英晴参議院議員と力を合わせて、郵便局ネットワーク維持と価値向上に努めてまいりたい。