インタビュー 全国郵便局長会 宮川大介理事
全国郵便局長会(末武晃会長)の宮川大介理事(四国地方会会長/土佐山田神母ノ木)に、自治体等と連動したリアルな郵便局を生かした地方創生の取り組みなどを伺った。
「お天道様は見ている」
――愛媛県宇和島市のみまもりサービスの反響が大きいですね。
宮川理事 岸田総理が国会で言及されたことで四国全体が勢い付き、大変うれしく思う。郵便局ネットワークを介したオンライン診療や服薬指導、医薬品の配達サービスは、離島やへき地の医療に光をもたらすものといえる。
愛媛県の要請で県内100局が「愛顔(えがお)のスマホ相談窓口」を開設しており、こちらも大変好評だ。ご高齢の方などITに弱い方が近所の郵便局でオンライン相談できるとあって、予約総数は1月末には2000件を超えた。県からは取扱局拡大の要望もいただいている。
――マイナンバーカードの申請支援業務など、自治体との連携が深まっています。
宮川理事 四国は携帯ショップのない市町村が比較的多く、郵便局が業務を受託できる可能性が高い。1月末現在で39自治体の164局が受託している。「局長さんが勧めてくれたから」と申請される方も増えており、郵便局の存在価値を示すものだ。今後も全力で取り組んでいく。
包括連携協定は四国95自治体のうち、1月末現在で67市町村と締結し7割を超えた。4月には、四国で初となる行政事務の包括受託を、香川県東かがわ市から受託予定だ。
東かがわ市の行政事務の包括受託や宇和島市の遠隔医療など、自治体との新たな連携が生まれているので、積極的に横展開を目指していきたい。
行政との連携という点では、自治体の施設に既に16局が入居しており、さらに1局準備中だ。また、イオンモールなどの商業施設に10局、病院等公共施設に7局と、公共・商業施設等に40局近く入居しており、地域住民の方々の利便向上に資する取り組みだと思う。
――郵便局の存在価値を高めるには。
宮川理事 コロナ禍やIT化等の影響で郵便局の来客者が減っているため、郵便局に足を運んでいただける施策をさまざま検討している。一つは「無人販売」だ。地域との連携や集客面でも良いツールと考えており、四国全体では1月末現在で単マネ局を含め半数近い417局で展開している。
生産農家と連携して郵便局を「集荷場」として活用し、近畿圏のスーパー等に配送する事業にも取り組んでいる。ここ数年は年間1億円以上の売り上げを出しており、さらに注力していきたい。
――全特で担当されている専門委員会は。
宮川理事 「総合政策」と「基本問題」の主任理事のほか、「地域貢献・地方創生」も担当している。基本問題は、他の専門委員会と重なる部分も多いので連携に向け〝横串〟を刺す役割を担っていきたい。
基本問題専門委員会では、地方会で上がってきた意見が、果たして部会・地区会での議論を経た総意なのか、役員だけで意見をまとめていないか、という点についても議論している。「風通しの良い組織づくり」のためにも、現場の意見を地方会で議論して全特に持ち寄る現行制度は有益だ。きちんと機能するよう、検証・改善していきたい。
四国地方会では新たな取り組みとして、各専門委員会の代表理事の下に、全11地区会から推薦された若手理事を「リーダー・サブリーダー」に任命した。企画立案や運営、意見の取りまとめ等の活動が、人材育成にもつながっている。
――改めて地域に生きる局長の役割についてお聞かせください。
宮川理事 よく「お天道様は見ている」といわれるが、真面目にコツコツと一生懸命にやっていけば、必ず報われる。地域の一員としてかわいがってもらいながら、〝一隅を照らす〟ことが局長の使命だ。この光が全国で集まれば、国をも照らしていける。