インタビュー 石井啓一公明党幹事長(党郵政問題議員懇話会会長)
折しも元日に発災した「令和6年能登半島地震」は、衝撃とともに新たな課題も浮き彫りになった。公明党の「郵政問題議員懇話会」の石井啓一会長は、「郵便局の防災拠点」的な機能に期待を寄せている。
法改正に賛同、〝安心〟の拠点機能強化を
――自民党が郵政民営化法の見直しに動かれていますが、公明党の郵政問題議員懇話会としての方針と、何に留意した法改正にすべきと思われますか。
石井議員 すでに自民党から話を承っており、公明党内でも役員クラスに説明しているが、今は状況を見守っている段階。基本的には自民党の考えに賛同している。紆余曲折はあったものの、民営化の決着点として社会全体を良くするために必須の法改正として進めていただきたいし、我が党もその目標に賛同したい。
12年前、改正郵政民営化法成立時に深く携わった斉藤鉄夫国土交通大臣がその後も郵政問題議員懇話会会長を務めていたが、3年前に私に代わり、事務局長は西田実仁参議院議員。衆議院32人、参議院27人計59人の公明党国会議員のうち、52人が郵政懇に参加しているが、全員で問題意識を共有できるよう取り組まなければいけない。
公明党も市区町村会議員、県会議員、国会議員が連携することで細やかに地域課題解決に取り組む〝ネットワーク政党〟。それだけに全国に張り巡らされる〝郵便局ネットワーク〟に親和性を感じ、郵便局の重要性の理解をさらに深めていきたい。
今の法体系のままでは、公共サービスをカバーする郵便局ネットワークの維持が難しい。法改正で維持を何としても可能にしたい。ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式売却が進む中、希薄になりつつある日本郵政グループの一体性をどう保持していくかが、法改正の最大の肝になる。
三事業一体維持のために、株式売却をどうするかが課題だ。日本郵政と日本郵便を一緒にする3社体制に公明党も異論はない。
――今後の社会で地域に根差す郵便局の重要な役割とは。
石井議員 市町村合併の影響で、旧の役所本庁を支所のような形で残す自治体もあったが、人口減少で支所の維持が難しくなってきた。そうした行政サービス拠点を確実にカバーできるのは郵便局ネットワークしか、もはやないと思う。郵便局の役割はますます大きくなる。
――防災の〝共助〟の仕組みで郵便局に期待できることとは。
石井議員 〝共助〟は町会や老人会、NPOなど行政以外の団体中心にやってくださっているが、郵便局は日常的に地域を回り、どこに誰が住まわれているかをおおむねご存じだ。大災害時は〝自助〟が重要だが、併せて〝共助〟で地域の状況をくまなく知る郵便局長の方々の役割は大きい。
今、さまざまな地域で防災倉庫を設置しているが、スペースのある郵便局に協力いただけたら国も自治体もありがたいと思う。避難拠点となれるほど大規模な局までは遠くて災害時は行けない方も多いだろうが、近隣の郵便局であれば場所が分からない方はほぼいないし、多少道路損傷等があっても歩いて行けるのではないだろうか。安心地点の目安に郵便局をできるとよいのかもしれない。
「令和6年能登半島地震」では飲み水以上にトイレの水がなく、大変な事態が起きたため、「下水道直結トイレ」を避難所にできそうな拠点に新たに造り始める自治体も出てきた。普通のトイレは水に流さなければ機能できない。
能登地震は上・下水道とも管がやられてしまったためアウトだったが、そこまでひどくない災害で、下水管は生きているが断水となった時、下水道直結トイレは非常に有効だ。全ての郵便局への設置は難しいと思われるが、半島や離島など交通が寸断されそうな地域だけでも優先的に検討いただけると、郵便局の〝安心拠点機能〟が発揮できるはずだ。