インタビュー 変わる資産運用(下)なかのアセットマネジメント㈱ 中野晴啓社長
――日本の金融業界は何を変えるべきとお考えですか。
中野社長 運用業界が今、金融庁からも指摘を受けていることは経営ガバナンスの問題だ。日本の資産運用業界は米国やヨーロッパに比べると地位が低く、銀行、証券の下に運用会社が存在している。野村アセット、大和アセット、三菱UFJ、三井住友、ニッセイアセット等々大手の運用会社は全て大手の銀行・証券・保険等を基盤とする金融コングロマリットに支配された形。
日本にはこれまで独立した大きな運用会社は存在していなかったが、そろそろ真に独立した運用会社が大きく育っていくべき時だろう。
生活者から一歩もぶれずに
米国では圧倒的に資産運用業界をリードする主役は独立系運用会社。最大手のブラックロック、バンガードやフィデリティ、キャピタルなど全て独立系でどこの金融機関にも属さず、資産運用のプロフェッショナルな創業者が自ら作った運用会社が巨大に成長している。
日本でも独立したガバナンスを確立させないと、親株主の意向で仕事がなされてしまう。経営の独立性がないと、真に生活者のための運用が実践される受託者責任が果たせなくなる。私はそこを徹底して目指すため、真に独立した運用会社を体現することに一番こだわった。
第一生命とスパークスのほか、今般ソニーフィナンシャルにも同額の出資をいただいたが、議決権の確保により経営独立性を担保いただく。どこの意向にも左右されない企業統治の構造は大事だ。各株主とも今、非常に変化の途上におられると思う。自らのビジネスや未来を客観的に冷静に捉えている経営だ。
例えば保険商品だけでお客さまを幸せに、ライフプランを全うする形は難しいと予測され、付加価値を加えるビジネスモデルに舵を切るなど事業モデルの改革だ。
「なかのアセットマネジメント」は4月から2ファンドを運用開始するが、多くの方々に選ばれる会社に、生活者目線から一歩もぶれずに進みたい。