インタビュー UPU(万国郵便連合)目時政彦事務局長

2024.03.10

 UPU(万国郵便連合)の目時政彦事務局長は、4年に一度の次期大会議までに「昨年10月の臨時大会議で合意を経た開放政策の方針に則し、郵便事業体と民間事業者との連携の実施方策を具体化する」意向を明らかにした。(上の写真は昨年10月の臨時大会議)

次期大会議へ 開放政策則し
郵便と民間の連携策を具体化


 ――臨時大会議では諮問委員会の権限や機能強化が決まったようですが、どのようなことを想定され、強化により、どのような結果を期待されていらっしゃるのですか。

 目時事務局長 今回の臨時大会議の決定に基づき、諮問委員会はより密接に管理理事会や郵便業務理事会の活動に関与していくことが可能となる。具体的には、諮問委員会は広範な郵便分野の関連団体、事業体の意見交換の場・フォーラムの役割を果たすものとなり、メンバー国や郵便事業体へ郵便業務の改善に向けた政策提言をしてくれるだろう。
 これにより、郵便事業が従来の事業の枠を超え、民間事業体の新技術やノウハウを取り入れ、より良質で安価なサービスを提供していくことを期待している。

 ――他の民間事業者との連携により、UPUは荷物分野も包摂する国際機関になっていく可能性はありますか。
 目時事務局長 郵便事業の伝統的な使命の重要性は変わらない。一方、今回の開放政策の方針に則し、荷物分野では、基本的にはUPUの郵便制度の枠組みの中で、郵便事業体と民間事業者との連携は一層増進すると思われる。
 郵便事業体は国際物流にとどまらず、国際貿易の一翼を担う潜在力を有す。UPUは加盟国・郵便事業体から要請があれば、こうした分野の事業展開のため、技術面や政策面などの幅広い分野で支援していきたい。

 ――臨時大会議を経た上で次期大会議まで特にどのようなことに取り組まれたいですか。
 目時事務局長 第1の課題は現下の郵便事業の実態に照らし、さらなる改善と強化のための新戦略(ドバイ郵便戦略)を策定することだ。
 また、今回臨時大会議で合意を得た「開放政策」の方針に則し、任意ベースでの郵便事業体と民間事業者との連携の実施方策を具体化し、合意を得ることも重要。
 第2には、郵便事業体が世界最大級の物流事業体である実態を踏まえ、環境問題で引き続き、積極的な対応を図ることが必要になる。(文書でのご回答)