新春インタビュー 日本郵政グループ女子陸上部 鈴木亜由子選手
今年4月に創部10周年を迎える日本郵政グループ女子陸上部(髙橋昌彦監督)。昨年11月の第43回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会(クイーンズ駅伝)では準優勝を勝ち取った。創部時から頑張り続ける鈴木亜由子選手は「グループの一体感を目的に女子陸上部は創設された。団結力や喜びを肌で感じ、応援してくださる皆さまからのパワーを私たちもいただいている」と感謝の思いを語る。
〝つなぐ〟力をグループの誇りに
――たすきをつなぐ駅伝競技の素晴らしさとは。創部時からの唯一の選手として自分に負けない人生のコツを教えてください。
鈴木選手 クイーンズ駅伝も前回より順位を上げて2位となり、皆さまが喜んでくださった。常に一緒に生活し、練習も皆で取り組む女子陸上部の選手を一本のたすきで〝つなぐ〟駅伝にチーム力の重みを感じる。
応援してくださる方々の団結力や喜びを個人レース以上に肌で感じ、逆にパワーを私たちもいただいている。パワーの相乗効果が駅伝にはある。たすきは力をつないでくれる。
私の座右の銘は「得意淡然(とくいたんぜん) 失意泰然(しついたいぜん)」(得意な時に有頂天にならず、うまくいかない時も焦らない)。
長距離は「継続」が一番重要だが、誰しも気持ちの浮き沈みがある中で続けるには、目標をもう一度明確に、努力を続けることが一番大事だと思う。
――当時、多くの企業からオファーがある中で日本郵政グループを選ばれた理由とは。
鈴木選手 当時は新チームで、何もないところから創り上げていくことに一番の魅力を感じた。髙橋監督の存在も大きかった。また、企業の基盤がしっかりしている安心感もあった。
実業団によっては勤務がないチームもあるが、私たちは合宿がない時期は朝練をし、午前中勤務した後、午後の練習が一日の流れ。社員の方々と一緒に働き、交流を深められることも練習の活力になっている。
とにかく一生懸命なのが髙橋監督。真面目で、誰よりも選手を走らせたい思いが強く、信頼できる。指導経験が長く、膨大なデータを蓄積されているにもかかわらず、成功体験に固執せず新しい方法に挑戦される、進化するアイデアマン。
――それぞれの力を引き出すチームの形は一番難しいと思います。キャプテン時代はチームをどう意識し、まとめてこられましたか。
鈴木選手 初代キャプテンとして約5年間やらせていただく中、キャプテンはしんどいと思った時も正直あった。どうまとめればよいのか悩み、怒った方がよいかもしれないと、試しに怒ってみたりもした。
さまざま試した結果、言葉で引っ張っていくのではなく、私の取り組む姿勢を感じ取ってもらう中で皆が「頑張ろう」との気持ちになってもらうことが一番と思った。
10年を経てきた女子陸上部は今、練習に対する意欲や雰囲気がとても良い。切磋琢磨し、それぞれの力を伸ばせる環境に私もいる。
1人での練習には限界があり、絶対1人で力は伸ばせない。日本代表選手などとも普段から一緒に練習できる環境にも恵まれている。伸びる選手は、ほんの少しの心掛けや、練習以外でも何か努力をしている。
――今の目標をお話しください。
鈴木選手 パリ五輪の最後の1枠に狙いを定めている。MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)本番では力を発揮できなかった。どのような状況においても勝ち抜く力、アグレッシブさが足りなかったと悔やんでいる。最後の1枠にはどの選手も目の色を変えて臨むが、私も前向きなマインドで失敗を恐れずに挑む。3月10日の名古屋ウィメンズマラソン2024に出場予定。豊橋市出身の私は、地元の皆さまの応援を力に変えて強い気持ちで走り抜きたい。
――グループにとって、女子陸上部の存在は誇りだと思います。
鈴木選手 全国津々浦々に応援団がいることは女子陸上部の誇り。感謝の気持ちを持って練習に取り組んでいる。グループの一体感を目的に女子陸上部は創設された。
プライドと誇りを持ってグループ社員の方々の思いを大切に真摯に競技に取り組んでいきたい。新しい力もどんどん出てきている。自分もまだまだこれから。頑張ります!