インタビュー 淨土英二北海道支社長

2023.10.24

 今年4月に北海道支社長に就任した淨土英二支社長の思いは、支社管内の約1500局を元気にすることで全道の地域を活性化することだ。自治体や企業との「連携の輪を広げたい」との思いは早速、全国初の網走バスとの連携や、北海道銀行の事務受託などで結実した。淨土支社長は「地域に密着したサービスができる素地を地元局長の皆さんが既に作り上げており、自治体や企業等と良好な人間関係を構築していることに感謝したい」と語る。

全道を元気に!広げよう〝連携の輪〟

 ――ご就任後、半年が経過されましたが、改めてご抱負を。
 淨土支社長 本社勤務が20年弱と長きにわたったが、もともと北海道出身であり、初任勤務も地元北海道。支社長として迎えられ、地元に恩返ししたい思いだ。これまでの経験を集大成し、郵便局・簡易局合わせて約1500局で働く社員と受託者の皆さんを元気にし、全道を元気にすることが自分の使命。
 道内の人口は全国の4~5%に当たる約500万人。経済も4~5%といわれているが、面積は日本の20%を占める。人口密度が低く、行政サービスの手が行き届きづらい環境。そうした特色を持つ地域を活性化するために、支社が各局に寄り添って力を引き出すことで、自治体・企業・人を〝つなぐ〟役割を果たしていく責任は大きい。

 ――北海道は全国で最も早く全市町村と包括連携協定を締結されましたが、網走バスとの連携も注目されています。また、北海道銀行の一部事務受託も10月から開始されましたね。
 淨土支社長 人が点在する道内は過疎化が他地域にも増して進んでいる。179市町村とよく連携し、支社が行政サービスを補完できるよう首長の方々とも極力、コミュニケーションを取って〝連携の輪〟を広げていきたい。
 今まで郵便局と自治体運営バスとの連携はあったが、民間バス会社とは網走バスが全国初。スマートフォンで乗車地や目的地を予約して購入する乗車券の販売場所がこれまで2カ所しかなく、郵便局を活用することで広げたいとの話をいただいたことを機に締結に至った。
 8月29日の式典で、網走バスの小澤友基隆社長は「過疎化と高齢化が進む道内で、公共交通機関の新たな方向性を試行したい」と強調された。
 地域交通サービスを郵便局が補うことで住民利便性と郵便局の存在価値を高められる。高齢になって自動車の運転ができなくなった地域のお客さまが利便の高い交通手段をより気軽に利用できるようになれば、と期待している。全国展開が図れると良いと思う。自治体はもとより、こういった地方企業との連携は極めて重要だ。地域交通維持・発展も地域貢献につながる画期的な取り組みと考える。
 一方、北海道銀行天塩支店の閉鎖に伴い、道銀ATMを天塩局内に設置し、通帳発行事務等の受託とともに、この10月に開始した。地域金融との連携も費用対効果を見据えて積極的に進めたい。

 ――金融営業の取り組みや、道内の美味を全国にお届けする方策等は。
 淨土支社長 金融営業は成果だけでなく、活動プロセス等にも力点を置き、研修やお客さまアプローチの事前準備等も評価している。お客さまへのお声掛けは第一歩だが、支社は社員の背中を押せるように取り組んでいる。
 一方、全国に北海道のおいしい生産物をお届けするため、ゆうパックを主力とする郵便商品の魅力をさらにPRしながら、これら商品を通じて道内の生産者の方と消費者をつなぐ機会を創出していくことが重要だ。
 発送だけでなく、箱詰めやストック保管等も実施して、多くの地元企業や生産者と手を結べば、北海道の産業が活性化し、全国にもっと発送できる。協業企業との兼ね合いもあるが、地域創生ビジネスをさらに手掛けていきたい。そのためには取り組みを評価する仕組みも大事だと思う。

 ――北海道は終活相談サービスも実施されています。スマートスピーカーを使ったみまもりサービスも一部の郵便局で開始されました。タブレット活用は今後、大きな鍵を握ると思えるのですが。
 淨土支社長 一口で終活といってもニーズはさまざま。窓口の積極的なお声掛けで、もう少し開拓の余地はあるようにも思っている。スマートスピーカーを活用した「郵便局のみまもりサービス」は、今年本格実施を平取町で開始したほか、試行予定の市町村もある。
 独居老人世帯も増え、首長の方々の関心が高い。みまもりサービスでタブレットを活用するような相談サービスのニーズもあると思うが、タブレットはコストもかかるため、郵便局単独では解決できない課題も残されている。

 ――特殊詐欺防止を284局で一斉に始められましたが。
 淨土支社長 釧路・根室・東北見・西北見・十勝の5地区連絡会、帯広・北見グループの単マネ局が、警察署と協力し、「特殊詐欺撲滅」を宣言した。地元からはとても喜んでいただいている。道内は特殊詐欺の被害が非常に多いが、郵便局が阻止した事例も多く、その都度警察の感謝状とともに支社も表彰してきた。防犯においても郵便局の使命は大きい。

地域密着の素地づくりに感謝

 ――局長や社員の方々への思いを。
 淨土支社長 金融・物流はもとより、地域との協業等、密着したサービスができる素地が整っていることが郵政事業の強みだが、取っ掛かりを地元局長の皆さんがアンテナを張って自治体の首長の方々をはじめ、企業を含めて地元に深く入り、良好な人間関係を構築していただいているおかげで、話がスムーズに進むケースが多い。非常に感謝している。
 郵便局ネットワークの魅力を生かす事業展開は、社員のやりがいにもつながると思っている。人口減少が恒常化する中、三事業を格段に伸ばすのは難しい。地域で郵便局の付加価値を高め、三事業と共に「郵便局を選んで良かった」と言われる地域貢献ビジネスをどれだけできるかが勝負だ。北海道には期間雇用やアソシエイト社員等を含めて約1万8900人の社員が在籍している。
 年齢層や業務内容はさまざまで、人が多い故の縦割りになりがちだが、横の連携を意識し、一丸となって北海道を元気にしたい。
 支社長就任後、道内20地区連絡会のうち、現段階で18地区連絡会を訪ねた。現場を目の当たりにする中で、真っすぐで懸命な局長や社員がたくさんいることを肌で感じ、思いを伝えることで一丸となって力を発揮できると確信した。
 成果があれば褒めて、時にはアドバイスや助言をするコミュニケーションを積み重ね、育てることが大事。気配りや目配りが支社の大きな役目になる。北海道の郵便局の特徴として、半分近くが2名局という特殊な事情を補う意味でも、フロントラインの皆さんとコミュニケーションを深める中で効果的に支社の方針を発信し、伝えていきたい。
 ただ、私がいくら発信しても、日々直接社員と接するのは局長の皆さん。今年4月の入社式では新入社員に、①職場の管理者とのコミュニケーションを積極的に取ること②社会人としての自らの考えを持つこと③仕事にやりがいを持つこと――の3点を話したが、局長の皆さんからの発信もお願いしたい。
 特に③は、新入社員よりも各職場における管理者の理解や職場全体が一枚岩となった態勢とともに成り立つもの。将来を見据え、若い人材がやりがいと魅力、達成感を味わえる職場環境を一緒に創っていただきたい思いだ。