第17回 年賀状思い出大賞
日本郵便が後援し、㈱グリーティングワークス(徳丸博之代表取締役会長)が企画する「年賀状思い出大賞」。第17回となる今年は全国から376作品のエピソードが集まった。準大賞、日本郵便大賞を紹介する。
準大賞 加藤里桜 様 「異国で感じる温もり」
アメリカに移住し、日本の年賀状文化が特別なものであることに気づいた。こちらでは、新年のあいさつはメールなどで行うことが一般的で、年賀状を交わす習慣はない。その分、日本から届く年賀状が、私にとってどれほど温かいものであるかを実感するようになった。
特に祖父からの年賀状は私の宝物だ。「元気でやってるか」と、いつも変わらぬ短い言葉。それでも、力強い筆跡ににじむ祖父の優しさが、異国の地での心細さを和らげてくれるのだ。私は新年を迎える度、祖父からの年賀状を受け 取ることを楽しみにしている。
ところがある年、祖父からの年賀状が届かなかった。母に尋ねると、祖父は体調を崩して入院してしまったという。私の年賀状は無事届いただろうか。胸が締めつけられるような気持ちになった。
幸いにも祖父は回復し、翌年には再び年賀状が届いた。「今年も頑張れよ」その言葉に込められた温もりを、私は噛みしめた。
日本郵便賞 紫麻子 様
「愛犬たふのお正月」
五人家族だった我が家には、毎年二百通近くの年賀状が届いていた。ある年、その中の一通に、愛犬たふへの年賀状があった。差出人を見ると、近所の小学生の女の子の名前。まだ個人情報もさほど厳しくなかった頃なので、学校 の連絡網で住所を知ったのだろう。
子どもたちに年賀状を渡すと、毎年大喜びで自分に届いた年賀状を見せ合う。その輪の中で、たふはくつろいでいた。「今年はたふにも年賀状が届いてるよ」と目の前に年賀状を置く。子どもたちは「えー」と声を上げ「たふ、良かったな」と大喜び。たふも嬉しそうにブンブンしっぽを振っているではないか。そんな姿を見ることは、すごく素敵で幸せな時間だった。
あれから二十年が経ち、子どもたちは巣立ち、今は二代目の愛犬なるとと、見守り隊のお手伝いで交差点に立っている。多分、なるとには年賀状は届かないだろうから、私が書こうかなと思っていたら子どもから届いた。
やっぱり年賀状っていいな。なんだかあったかい。