郵便料金制度、見直しパブコメ開始

2025.06.22

 総務省は6月5日、「郵便事業を取り巻く経営環境等の変化を踏まえた郵便料金に係る制度の在り方」の答申案をまとめ、6日から意見募集を開始した。

総務省 適正な算定基準等も策定へ

 デジタル化の進展に伴い、郵便需要が減る中で昨秋の料金改定後も1年後以降は再び赤字が続くことが予測される中、ユニバーサルサービス維持に向けた制度の検討を郵政政策部会郵便料金政策委員会(山内弘隆主査専門委員)で11回、議論されてきた。
 答申案は、これまで明確な算定方式のなかった郵便料金の透明性のある算定基準や収支相償、料金に係る規制等、一般信書便役務に関する料金規制等の考え方が盛り込まれている。
 具体的には、郵便料金に係る制度の在り方について、「不当に高額な料金設定の防止」の観点から料金上限額に一定の規制を課す仕組みは維持しつつ、経営環境の変化等を受けて、日本郵便がより主体的、機動的に対応できるよう、日本郵便の発意に基づき、上限料金の設定等の手続きを行う制度導入の検討が望ましいことを明記。
 そうした「上限認可制度」等の導入を検討するに当たり「上限料金」の変更命令も検討するほか、手続きの透明性確保の観点から、設定基準は審議会への諮問を必要とする方向で検討すると記された。
 また、郵便事業の料金算定基準の適正な原価における荷物事業との費用配賦について、現状、日本郵便は工程別の原価を郵便と荷物に整理する際、物数比や体積比など工程によって費用按分の方法に差異があるため、見直すべき点がないか改めて検討する必要性も指摘。
 さらに、大きさが異なる郵便と荷物は物数比と体積比のどちらを用いるかで按分結果に差異が生じる可能性もあるため、実態等を踏まえてコストドライバーの妥当性を検討し、透明性や説得力のある基準とすることが望ましいとしている。
 一方、第三種・第四種郵便物等は現時点で見直しが必要な状況変化もないことから、現行制度を据え置くことが明記されている。