生きる!地域と 山形県西川町

2025.05.09

 山形県の中央に位置する西川町(菅野大志町長)。真冬には5㍍以上も雪が積もる〝隠れ積雪日本一の町〟では、郵便局長への「集落支援員」「副支所長」委嘱など全国初の連携事業が進む。4月中旬、まだ残雪が積もる同町を訪ね、菅野町長や山形県北部地区連絡会の荒木尚人統括局長(間沢)ら関係者に熱い想いを伺った。

全国初 局長が「集落支援員」「副支所長」


 4月から間沢局、西川月山局(近松和朗局長)、西川局(玉谷荘一局長)、大井沢局(志田浩一局長)で始まった集落支援員の取り組みでは、各局で毎月3回、局長や地元住民の希望者らによる「ミニ対話会」を実施。役場にはなかなか言いづらいことも、顔の分かる局長さんなら話しやすく、町に要望を伝えてくれると大変好評だ。

 荒木統括局長は「1年ほどかけて準備をしてきた。5000人を切った小さな町に四つも郵便局がある。地域への恩返しの想いで、地域の方々のお困りごとなど生の声を包み隠さず届けて、町政に役立てていただきたい。それが私たちの喜びでもある」とほほ笑む。

毎月 各局で「ミニ対話会」、町長と定例会

 4人の局長と郵政事業有識者懇談会委員のメンバーでもある菅野町長らは2022(令和4)年5月から、毎月1回定例の打ち合わせを行い、連携施策を協議。「公式LINEアカウント等の登録支援」「マイナンバーカードの申請支援」「非常食『防災ボックス』(やさいぼうさい)の窓口販売」など、相次いで実現を見た。

 菅野町長は「郵便局の強みは、地域の皆さまからの信頼の厚さ。対話を通じて得られる情報を住民の困りごととして捉え、解決できるよう行政に生かしていきたい」と強調する。

 荒木統括局長は「毎回の打ち合わせには東北支社(斎藤貴支社長)の地方創生担当者も参加し、時には本社ともリモートでつないで行う。LINE登録や集落支援員も手数料をいただいており、会社にとっても町にとってもウィンウィンな制度。全国に広まれば、郵便局の存在価値がさらに上がる」と意欲を示す。
 24年7月からは、大井沢局で証明書交付などの支所業務を包括受託し、志田局長が「副支所長」の委嘱を受けた。

 志田局長は「支所の建物管理や水道の閉開栓受け付けまで、支所業務を丸ごと請け負った。7月からはマイナカードの更新業務も始まる。いろいろな用事で来局され、郵便局をコミュニティーの場にしてくれるのが一番うれしい」と目を細める。

 西川町企画財政課兼つなぐ課の松田淳一郎課長は「支所機能の委託を考えた際、信頼できる郵便局が最もふさわしいと志田局長に委嘱した。町では全世帯にタブレット端末『つながるくん』を無償配布しているが、4郵便局にも配布しており、高齢者への操作方法の支援もお世話になっている」と感謝を語る。
 西川町は日本初のデジタル住民票の販売や手厚い子育て支援、移住サポートなどで話題を集めており、新地方創生交付金の採択額は全国の市区町村で第4位を誇る。郵便局と一体となって歩みを進める西川町の取り組みに、全国が注目している。