総務省「地域のお困りごと」懇談会 期待高まる「相談窓口の郵便局」
総務省が主催し、地域の「お困りごと」の発掘と解決支援を目指して、郵便局長と行政相談委員、地元住民らによる懇談会が各地で開催されている。香川県高松市(2月17日)、岩手県西和賀町(同)、奈良県宇陀市(同)、愛媛県宇和島市(2月18日)、長崎県長崎市(3月18日)、福岡県飯塚市(3月26日)での懇談会でも、郵便局への要望や期待の声が相次いだ。(写真上は宇和島市)
香川 地域担う若い人の定住増を
2回目の開催となった香川県高松市塩江地区では、前回の課題の現況や新たな課題に対して、塩江局の中山賢治局長や四国行政評価支局の方健児支局長らが意見を交換した。
兼若俊文塩江地区コミュニティ協議会長 塩江の人口約2000人の半数は60歳以上。若い人の定住人口を増やしたい。地元の活動参加者は約1割だ。
滝井正光行政相談委員 高齢化のため市道の草刈り・清掃の相談は多い。自治会等で行っているが、維持管理を市に相談しているが、業者に委託すると相当な費用がかかってしまい、難しい状況だ。
原岡正仁塩江支所長 塩江には80自治会があるが、住民が2、3軒のところも十数自治会ある。集落自体が消えていく現状がある。
高田賀夫総務行政相談管理官 地域の担い手確保は大きな問題。住民で対応できないなら、他の地域から人を呼び込んで手当も用意し、ボランティアベースで何かしてもらうような取り組みをしている過疎地域もある。
愛媛 買い物・備蓄配送に郵便局
全国で初めて懇談会を開催した愛媛県宇和島市では3回目の開催となった。事前の郵便局長との協議で、2024(令和6)年度から参加しているクールスポットにペットボトル水等を置くことで合意し、市と協議を行っておおむね合意を得た。
郵便局長 生活用品をタブレットで注文して、郵便局が配達する試行を実施しているところがある。郵便局で日用品などを販売してほしいといった声は、かなり上がっている。
NPO代表 フードドライブなどの食料品は賞味期限が短いものなので、活用方法や何を置くかにもよるが、食事に困った方の支援者が郵便局に取りに行くという方法もある。
宇和島市危機管理課長 備蓄物資の運搬について、毎年備蓄物資の更新があり、クールスポットを実施している郵便局に分配していただけたらと思う。
宇和島市高齢者福祉課長 郵便局の配送車と独居高齢者のスマートスピーカーを組み合わせて連携できるサービスを検討している。
岩手 郵便局に困りごと相談所を
岩手県で初開催となった西和賀町では、郵便局側から地域の課題・行政への要望等を列挙した資料の提供があり、各郵便局長の説明を受けて意見交換が行われた。
郵便局長 「郵便局に行けば何とかなる」と頼ってくれる住民が多い。協定にとどまらず、現場レベルで各郵便局と自治体が有機的に連携する枠組みが広がっていくとよい。
西和賀町 町営バスの一部路線をAIオンデマンドにする。料金は高校生以下と75歳以上は無料、それ以外は100円。ニーズ調査を行った上で時刻表を作成した。
西和賀町 町立病院の医師は4名体制で、応援診療にも来てもらっている。一方、看護師の確保が難しい。
行政相談委員 郵便局に困りごと相談所を開設することも一案。西和賀町では、熊の出没や病院へのアクセスといった困りごとを抱えている住民がいる。郵便局と連携し、地域の声を直接行政に届ける役割が行政相談委員には求められている。
福岡 戦略的な連携で高齢者支援
福岡県初開催となった飯塚市の懇談会には、武井政一市長も出席。高齢者支援の充実などをテーマに活発な意見が交わされた。
事前のヒアリングでは、いずれの主体も、高齢者を取り巻くさまざまな地域課題に対応するための連携の必要性を感じている一方、体制構築の難しさが報告された。行政側からは、郵便局やまちづくり協議会、民生委員などの強みを踏まえ、統一的・戦略的な連携方策を講ずるべきとの提案があった。
郵便局長 日本郵便と飯塚市は包括連携協定を結んでいる。地域包括支援センター等の活動の情報を共有していく必要性がある。
行政相談委員 民生委員など高齢者と接する窓口となる方々との連携が重要だ。
地域包括支援センター まちづくり協議会で高齢者の参加に成功している事例がある。地域包括支援センターと他の地域主体が役割分担して、高齢者を見守っていきたい。