「共創の未来へ」 郵便局と地域金融機関連携

2025.06.04

 地域金融機関の店舗やATMコーナーの閉鎖・撤去が進む中、郵便局と連携して空きスペースにATMや共同窓口を開設する動きが広がっている。3月末時点で、11都道県27市区町村の31局に設置。地域住民の利便性向上につながっている。(写真は旭川市の西神楽局・及川局長)

ATMや共同窓口〝人がいる安心〟

 北海道支社(坂東秀紀支社長)は3月17日、旭川市の西神楽局(及川浩司局長)に、旭川信用金庫のATMを開設した。信金のATM設置は全国初となる。
及川局長は「旭川信金の無人出張所が近くにあったが、老朽化のため閉鎖となった。お客さまには事前に張り紙などでご案内し、郵便局でゆうちょと信金が両方使えることになったので、かえって便利になったと喜ばれている。一日に30~40人がご利用されていると思う」と強調する。
 都市部でも金融機関のATM設置局が広がりを見せる。東京支社(高橋文昭支社長)は都内3局で、きらぼし銀行のATMを開設している。調布市の調布金子局(臼井明子局長)では、約4年半前からATMを設置した。
 臼井局長は「当局はURの団地内にあり、以前はきらぼし銀行の窓口も団地内にあったが、閉鎖された。銀行を利用されていたお客さまからは、郵便局でATMが利用できるとともに『窓口があるので安心』とのお声も多い。年金の口座を郵便局に替えられた方もいらっしゃる。今後も住民の皆さまの利便性が高まるよう心がけたい」とほほ笑む。
また、ATMとともに「共同窓口」を設置しているのは北海道天塩局(佐藤遵局長、北海道銀行)、奈良県折立局(玉置孝寿局長、南都銀行)、熊本県牛深局(森田隆雅局長、熊本銀行)。このうち牛深局は3月10日から、局内に同行の有人窓口を全国で初めて開設した。
 森田局長は「熊本銀行牛深支店が牛深局の中に移転する話が出た時は、牛深周辺で大きな話題となった。熊本銀行の行員も地元の方なので自然な形で毎日のあいさつや雑談に加え、業務上では書類の郵送に後納を利用いただいている。今まで郵便局にご縁のなかったお客さまがお越しになるようになり、明らかに来局者数が増え、窓口に活気が出ている」と喜びを語る。
 金融機関との連携により、ワンストップで郵便局&銀行の用事を済ませられ利便性向上、来局者数も増加。郵便局が、なくてはならない〝金融の拠点〟としても存在感を高めている。