関東支社と日光市 ウィンウィンで仕組み創ろう!
栃木県日光市と関東支社(茂木孝之支社長)栃木県中部地区連絡会日光市内局代表局長10名は10月6日、日光市役所内で初の意見交換会を開催した。議題は①郵便局の地方創生の取り組み②買い物支援③空き家対策関連業務――の3点。日光といえば修学旅行。足尾銅山跡もあり、日本の近代産業の礎を築き、全世代を支えた歴史ある土地だが、過疎化も急速に進んでいる。意見交換会では、「野菜の無人販売」を行う局に朝9時頃、「きょうの野菜は何ですか?」と電話がかかるなど、驚くべきニーズも発覚。暮らしに欠かせない新たな郵便局の可能性を共に探り、共有し、認知する絶好の機会となった。
「きょうの野菜なあに?」
無人販売などで郵便局の活用を
日光市 粉川昭一市長 日頃の市民の安心・安全な暮らしへの実現支援に感謝申し上げたい。本日は、地方創生の取り組みにおいて、市との連携の可能性についての意見交換と、足尾地域で産業の歴史と環境問題を通じて未来志向を学ぶSDGsワーケーションを実施されるとのこと。
市のブランディングコンセプトは「NEW DAY,NEW LIGHT.日光」だ。企業誘致やテレワーク等定着の促進、カーボンニュートラルの拠点等の重点施策を通じて関係人口や活動人口の増加、企業との関係深化を進めている。
関東支社 茂木支社長 今回、日光市との連携を一層充実させる機会をいただき感謝申し上げたい。郵便局は生活をトータルで支える安心・安全の拠点だ。日光市においては民間気象会社と連携した紅葉情報を提供する実証実験を行う。
日本郵便は、郵便局ネットワークを活用し、各地域ニーズに応じた多種多様なサービスを提供、地域との共生を図ることが法律にも定められている。日光市様とさらに連携を深め、地域の皆さまの安心・安全のために取り組んでいきたい。
関東支社 久保田英三郎地方創生室長 市内の清滝局(小倉浩史局長)と川治局(坂井崇人局長)が包括事務を受託し、タブレット端末を活用した案内業務など先進的な取り組みを行っているが、マイナンバーカード交付・申請をはじめ、さまざまな公的業務を全国各地で実践している。
各種地方創生の取り組みの中で、本日は空き家調査業務についてご紹介したい。住宅・土地統計調査(総務省)によると、空き家の総数は20年間で1.5倍(576万戸→849万戸)、長期不在の住宅等は同1.9倍(182万戸→439万戸)まで増加。関東支社は5月~6月、日光市様も含め数自治体にヒアリングさせていただいた。
空き家調査は「予備軍」と「既知空き家」があるが、郵便局による調査の実証と実装を「空き家情報のデータベース化」や「空き家利活用」につなげたい。オンライン空き家相談窓口開設、空き家バンクの登録等も提案している。
日光市 小林岳英企画総務部長・久保吉幸地域振興部長 近所で買い物ができない市民の要望により、市は「買い物ツアー事業」を緑地区と栗山地区を対象に展開している。手に取って選べ、往復のワゴン車内はコミュニケーションの場になる。
社会福祉協議会、事業者、NPO法人、タクシー会社、自治会が買い物支援を実施しているが、市内90地域の「まちづくり協議会」の支援と同時に民間企業とも連携し、市単独ではできない事業を実施したい。
日光市 土屋栄建設部長 空き家対策は2022(令和4)年度に「第2次日光市空き家対策計画」を策定し、①空き家等の発生抑制と適正管理②利活用の推進③管理不十分な空き家等解消――を基本方針とした。市全域を対象に職員の全体調査も開始。日々地域を回られる郵便局には危険情報をいち早くいただけると非常にありがたい。買い物支援は生協と業務が進み、個配もできるが、1軒1軒が離れていると難しいという課題がある。
粉川市長 市民と意見交換をすると、必ず買い物支援の要望がある。ご高齢の方はネットが苦手で、個別に届ける形が一番。郵便局に買い物支援を協力いただけるとありがたい。
茂木支社長 できることがあれば取り組みたい。無人販売ではファミリーマート様とも連携し、商品の陳列棚を設置する局も関東内にある。
栃木県中部地区連絡会 石川明副統括局長(日光安良沢) 清滝・安良沢・本町はスーパーがないため、局内に料金箱を置いて野菜の無人販売を行っているが、朝9時頃に「きょうの野菜は何ですか?」とお客さまからの照会の電話が鳴る。目で見て手に取れるため、安心のようだ。ただ、同じ市内の農家は納入できるが、他地域からは納入できないルールがあり、無人販売できない局もある。柔軟な仕組みにしていただきたい。
上中哲也副市長 搬入、そこをどう解決できるかだ。
石川副統括局長 郵便局の赤車の余積スペースを活用して農産物を配送する実施事例があるので、活用できると思う。
渡邉和彦局長(日光東) 市内の8割を配達担当する日光東局で把握している空き家割合は、足尾地区は5割、鬼怒川温泉地区と川治地区が約4割。旧今市市と藤原町、中禅寺地区は1割弱が空き家。前任局ではご高齢の方のためにゴミ袋を局で販売してほしいと相談を受けたことがあった。
上中副市長 清滝局の包括事務委託では料金の問題もあり、依頼はしていないが、住民からの要望はある。
茂木支社長 郵便局も株式会社のため、無償の受託では持続可能とならない。空き家情報を含めてウィンウィンの形で実現できる形を創りたい。
上中副市長 郵便局の利活用の検討が今後は非常に大事だ。