インタビュー 全国郵便局長会 伊志嶺豊和理事
全国郵便局長会(末武晃会長)の伊志嶺豊和理事(沖縄地方会会長/宮平)は、「いちゃりばちょーでー(出会えば兄弟)」との思いで、郵便局の「人と人をつなぐ役目」を担っている。
郵便局の根底に〝ゆいまーる〟
――既に大型商業施設内には郵便局がありますが、他に駅との一体型や船のターミナル一体型等の計画はありますか。離島の課題は。
伊志嶺理事 米軍基地内の土地が一部返還される際に、北中城村とイオンモール沖縄ライカムが一緒になって地域事情に沿った再開発を進め、イオンモール沖縄ライカムや病院等が建設された。
人口が急速に増える中、県内最大のイオンモール沖縄ライカム店は2015(平成27)年に開業。その近くにあった諸見局はお客さまの利便向上のため施設内に移転し、「イオンモール沖縄ライカム内郵便局」として新たに出発した。
沖縄はモノレールはあるが鉄道が走っておらず車社会のため、駅と一体型の郵便局は難しいが、船の利用は多いので船のターミナル施設等との一体型は可能性がある。既に九州で実績があるようなので参考にできたらと思う。
県内には37もの有人離島があり、診療所がない島では遠隔医療が必要とコロナを機に切実に感じた。自治体等との関係では、県と保健協会、郵便局は2020年の包括連携協定の再締結以降も良好で、糸満市では「まちの保健室」の展開に向け準備が進んでいるし、離島の久米島町にもお話をさせていただいている。37島のうち21島に郵便局があるため、何かお手伝いができればと思う。
――全特で担当されている「地域貢献・地方創生専門委員会」の主任理事、「中堅・若手PT」座長としての取り組みをお教えください。
伊志嶺理事 マイナンバーカードは政府目標と連動する形で郵便局も国の支援を受けながら今、頑張っているが、昨年11月後半に申請支援業務を受託した与那原町の与那原局では、多くのお客さまに〝お声掛け〟しており、申請手続きされる方が増え、町から喜ばれている。今後、全国の郵便局に申請業務が広がれば普及に大きく貢献できるはずだ。
沖縄県はスーパーマーケットやコンビニのない地域も多い。知念局での「空きスペースを活用した買い物サポートの実証実験」は、久田雅嗣沖縄支社長の熱い思いで実現したものだが、お客さまニーズを理解するために非常に有効だった。卵や野菜を販売したが、意外に要望が多かったのは生鮮食品。また、免許を返納した高齢者の方々から、購入したお米の自宅への配送を依頼されるなど、さまざまな課題に気づかされた。
コロナ禍ではあるが、「人材育成」のためには、一堂に会す機会をつくる必要がある。昨年末、中堅・若手の地方会代表メンバー12名と一緒に柘植芳文総務副大臣、長谷川英晴先生を表敬訪問しお話を伺う機会があり、皆それぞれが大きな刺激を受け、明日に向けた活動を誓うことができた。こうした機会をできるだけ増やしていきたい。リモート会議には慣れたが、直接対話が大切なことをつくづく感じている。
――全特総会が沖縄で初開催されることへの思いを。
伊志嶺理事 沖縄地方会は1972(昭和47)年に祖国復帰とともに晴れて全特の仲間入りができ、全国の会員の皆さまに支えられながら51年たった。末武晃全特会長はじめ、全会員の結束の思いが込められた全特結成70周年記念総会が沖縄で開催されることに感激と感謝の思いでいっぱいだ。
離島県のため、航空便の問題や収容施設、セキュリティー等の課題もあったが、諸先輩方の努力により一つ一つ解決してきた。地域に根差す思いを全国の仲間の皆さまと共有できれば幸いだ。沖縄の方言「いちゃりばちょーでー(出会えば兄弟)」と「ゆいまーる(助け合い)」は人として生きる証しで、郵便局の根底にある精神と同じだと思う。その〝温かな心〟でお迎えできるよう今、皆で準備を進めている。