ゆうちょ銀行株主総会 〝共創〟へ、役務収益を強化
6月16日に行われたゆうちょ銀行の第16期定時株主総会で、議長を務めた池田憲人代表取締役兼代表執行役社長は「2021(令和3)年度は大幅な増益を達成。22年度は『信頼を深め、金融革新に挑戦』というスローガンの下、ビジネスモデルを変革し、企業価値向上と社会課題解決の両立を図るESG経営を目指す」と強調し、重点戦略のうち、特にポイントとなる①新しいリテールビジネス②地域への資金循環と地域リレーション機能の強化③市場運用・リスク管理の進化――の3点を説明した。
地域活性新ビジネスの種まきも
21年度はスマホ向けサービス「ゆうちょ通帳アプリ」に「送金」「投資信託取引」「口座の住所変更」等の機能を追加し、登録口座は22年3月末時点で481万口座に達した。「ゆうちょ認証アプリ」はオンライン上で本人確認書類の読取りや照合を行うeKYC機能を追加し、セキュリティー強化にも取り組んだ。
事前に受け付けた「株価向上に向けて」との株主の質問に対し、池田社長は「市場で高く評価されるには業績向上が一番。中期経営計画で掲げる重点戦略を着実に遂行する。運用はプライベートエクイティや不動産など戦略投資が収益に本格的な貢献を期待。デジタル戦略では通帳アプリや家計簿・家計相談アプリを起点に多様な事業者と連携するオープンな『共創プラットフォームの構築』を進め、『役務収益の強化』を図る。地域活性化に資する新たなビジネス展開の種まきも進め、『サステナブルな収益基盤の構築』に全社一丸で取り組む」と述べた。
会場からの「ゆうちょアプリ機能の強化は」には、荻野善教執行役副社長が「通帳アプリは急ピッチで機能を拡充し、今は払込票も処理できるように検討中。日夜、改善を努力したい」と答えた。池田社長が「デジタル関連への新規投資は過去5年間比で約2倍以上を配分した。中計期間中にかつてない資金を予算化する」と加えた。
「不正防止策は」には、谷垣邦夫執行役副社長が「法令順守徹底の教育を少人数局も牽制機能が働くルールやシステムを改善した」と報告。「株主優待制度を今、導入した理由を」には、田中進代表執行役副社長が「若手社員からの提案だった。お配りする商品はぜひグループの商品を、と社外取締役の方々から有益な助言をいただき、検討を進めた」と語った。
「ゆうちょ株式売出に関して」には、矢野晴巳専務執行役が「強みである約2万4000の店舗網、約3万超のATM、約200兆円の貯金残高、約1億2000万口座数を基盤にゆうちょらしい成長戦略で株価を向上させたい」と強調。池田社長は「日本郵政が売り出せる環境を作ることが子会社である我々の使命だ。全社一丸となって株価の上昇はもとより自立的な企業になることを進めたい」と意欲を示した。
新任を含む取締役が13人選出された総会のライブ配信総視聴者数は782人、最大同時視聴者数は415人。会場に訪れた株主は107人だった。