2030年へ 誰一人見捨てない社会づくりを
2024(令和6)年は郵政事業にとって激動の一年になりそうだ。通常国会に議員立法として提出される改正郵政民営化法見直し法案は、12月に「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(山口俊一会長)見直しPTから役員会へと議論の場が上げられた。今後は自民党内で固めた後、公明党とも調整し、野党に諮っていく。
2024(令和6)年 起点
法案の最たる肝は郵便局が公的サービスを担える仕組みづくりだが、3社体制や日本郵政の金融2社持ち株比率を3分の1以下としない下限規制の創設も、ユニバーサルサービスを託す郵便局ネットワーク維持の根幹に関わってくる。
改正法見直しのほか、郵政民営化委員会(山内弘隆委員長)による3年ごとの民営化検証、総務省情報通信審議会郵政政策部会(米山高生部会長)「デジタル社会における郵便局の地域貢献の在り方」の答申、日本郵政グループ中期経営計画見直しが軒並み明らかにされる今年は、まさに郵政事業変革の起点の年。
それぞれは別の動きだが、根底に共通課題を抱えている。何かといえば、人口減少が進む日本の津々浦々に人が暮らせる〝地域〟を残せるか否かだ。それは国力にも直結する。人と局舎を持つ郵便局ネットワークの活用は、もはや待ったなし。12年ぶりの見直しが審議過程で骨格を崩され、形だけの法改正にならない結実が望まれている。
改正法見直し法案骨格
◎郵便局の公的基盤としての位置付けの明確化(①基幹三事業だけでなく、公的サービスを加える②郵便局の公的な立ち位置づくり)。
◎郵便局ネットワーク維持(①持ち株会社に基金を設置②自治体等が郵便局に業務委託する場合等に国の財政措置を創設)。
◎グループ一体を堅持(①3社体制を構築②日本郵政の金融2社持ち株比率3分の1以上とする下限規制の創設③三事業堅持に向けた総務大臣の権限強化)。
◎金融2社の新規業務届出に係る上乗せ規制の緩和。
◎日本郵政に対する外資規制の導入。