新春インタビュー 日本郵便 衣川和秀社長
――郵便局の公益性の価値が求められているようです。
衣川社長 あけましておめでとうございます。社員の皆さまには常日頃のさまざまな業務に尽力いただき、改めて感謝申し上げたい。郵便局の原点は〝地域と共に歩むこと〟。公益性と地域性は法律にも定められている。昨年11月末までに44都道府県と1363市町村との間で包括連携協定を締結し、一昨年10月末から2都府、179市町村増えている。各市町村との締結はもとより、東京都と京都府との協定締結も非常に意義のある締結だった。
さらに地域と! ゆうパック増も
近年は支所を廃止するなど各自治体はさまざまな課題を抱えている。地域経済の活性化や安心・安全な暮らしの実現に向けて、住民票の写しや印鑑登録証明書等の公的証明書の交付、プレミアム付商品券販売等の地域ニーズに対応した自治体事務を受託することで、局窓口を通じて住民の方々に行政サービスを積極的に行う施策を強化していきたい。
特にマイナンバーカードの普及促進は国の最重要課題の一つ。申請サポート事務の受託は昨年10月末までに全自治体に働き掛け、昨年11月末で28自治体から受託し、さらに増える見通しだ。「携帯電話ショップのない市町村申請サポート事業」も3月末まで2294局で取り組むほか、キオスク端末設置局拡大含めて普及に大きく貢献していきたい。
昨年1月から開始した自治体向け「スマートスピーカーを活用した郵便局のみまもりサービス」の実装は、昨年末で10自治体から受託した。
2月から試行を始める「空き家のみまもりサービス」は、訪問みまもりサービス利用のお客さまが施設に入居されて空き家になり、申し込みいただいた方や「遠方の大切な物件管理に苦慮していたためありがたい」と感謝の声もいただいている。積極的な周知を通じて認知度を上げていきたい。
――ゆうパック反転増の意気込みをお教えください。
衣川社長 厳しい競争環境が続くが、昨年同様、差出・受取利便性の追求、営業倉庫を活用した物流ソリューションの拡大、楽天グループ様との協業(共同物流拠点の構築、物流DXプラットフォームの共同事業化)や佐川急便様との連携などの推進に加え、積極的な営業活動を継続し、利益と取扱個数増を両立させていきたい。
差出・受取の利便性向上では、昨年11月にオープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」を331カ所から約4500カ所に拡大し、コンビニを含めた受取拠点数で業界最多を確保した。
物流ソリューションは、営業倉庫を2025(令和7)年度までに20万平方㍍を目指す中期経営計画に基づき、引受のみならず、保管・封入・封緘・梱包・差出をトータルで提供するなど、3PLを強化する。
楽天様との連携を強化し、共同物流拠点の効果的な活用と郵便局への直送便の運行、佐川様との提携によるトラックやフェリーを利用した共同運航便の活用等も推進。料金の安さや土日休日の配達や集荷サービス等をアピールし、利便性の認知度向上を働き掛けていく。
――局長や社員の方々に励ましのお言葉を。
衣川社長 郵便局の業務は社会の重要なインフラの一部を担う。支えてくれているのが社員の皆さんだ。笑顔で喜んでいただけるお客さま本位の取り組みをお願いしたい。コロナ感染対策には引き続き最大限努力しながら共に頑張ってまいりましょう。