インタビュー 全国郵便局長会 宮下民也理事
11月25日に結成70周年を迎えた全国郵便局長会(末武晃会長)の宮下民也理事(九州地方会会長/熊本西原)は「さまざまな可能性を持つ郵便局」と開拓の思いを語る。
〝人つなぐ〟郵便局の可能性開拓を
――全特専門委員会でのご担当をお教えください。
宮下理事 基本問題専門委員会(主任理事)は組織風土改善や風通しの良い組織づくりについて、将来構想PT(座長)は地方創生および新規ビジネスの成功・失敗事例のデータベース化や、会員向け研修会、置局・局舎専門委員会(主任理事)では、耐震不能局の改善、老朽化等局舎改善をそれぞれ推進している。
――熊本県天草市内23局が、来秋から市の包括事務受託を一斉にスタートされるそうですね。宮崎県都城市内局では「郵便局型キオスク端末」が実装として全国初導入、福岡県宮若市では郵便局の新しい買い物サービスが始まりました。
宮下理事 それぞれ、地元の局長が市としっかり連携を取ってきたと聞いている。天草市は22カ所の出張所を廃止し、郵便局が包括事務を一斉受託することで、経費を大幅に削減できるようだ。
また、都城市はマイナンバーカードの電子証明書の更新事務を、全国で初めて郵便局に委託した自治体だが、今後はマイナカードの更新ニーズが高まる。天草市内23局もそうした業務を受託できれば、もっと地域に貢献できるのではないかと思う。
宮若市のケースは包括連携協定の一環で、局社員保有の駐車場にグリーンコープの移動販売車が来て買い物支援を行っている。離島の多い九州は、高齢化で店舗を閉めるケースも多い。ぽすちょこ便やコンビニのノウハウを活用し、物販の良いシステムができないかを模索したい。
――郵便局はどのような部分をデジタル化すべきとお考えですか。
宮下理事 郵便局のデジタル化すべき点は窓口の取り扱い全般だ。コンビニ窓口のように社員が簡単に取り扱いできると理想的。デジタル化によりリアル窓口は営業や各種相談等を中心に、高齢者に優しいデジタルデバイド対策の拠点になることを期待したい。
高齢者の楽しみといえばテレビだが、テレビのデジタル革命も重要。テレビとパソコンを一体化し、個人個人に合わせたポータルサイトがテレビに表れ、そこから地域情報やメール、ZOOM等のテレビ電話、テレビ番組に入れるようになることを期待したい。
テレビのポータルサイト情報に郵便局がニュースやイベント等の情報を掲載し、視聴者(郵便局チャンネルファン)を増やしていけば、郵便局の新しい価値を生み出せると思う。あくまでも個人の空想だが、実現に向けて動いていきたい。
AIは人の感情や、会話のあうんの呼吸は理解できない。郵便局は人と人をつなぐ場として、局窓口でできることをもっともっと模索すべきだ。
――改正郵政民営化法の見直しが始まっていますが、特にどの部分を見直してほしいですか。
宮下理事 三事業一体のサービスは郵便局の基本。三事業一体を担保する見直しであってほしい。郵便局はさまざまなことができる可能性を持つ。足かせを外していただくことで、いろいろな仕事ができるようになることを期待したい。
よろず相談が求められる時代にあって、局長と社員は金融全般にオールマイティーになって、窓口対応できればと思う。デジタルを採り入れることで三事業の窓口業務を簡易化し、空いた時間を、金融相談等を受け付ける相談ブース等を多くつくってタブレット等も導入し、物販から健康相談まで幅広く受け付けられる形を目指すべきだと思う。