新春インタビュー 日本郵便 高橋文昭常務執行役員

2023.01.20

 政府が3月末までに、ほぼ全国民の取得を目指すマイナンバーカード。昨年末には、郵便局の①申請サポート②キオスク端末設置③電子証明書関連事務――拡大に向けた国の支援策が、矢継ぎ早に打たれた。自治体と郵便局の両輪が、より密接に地域を支えるチャンス到来だ。日本郵便で地方創生を担当する高橋文昭常務執行役員は「将来は、マイナカードといえば郵便局が思い浮かぶ、そういう新しい郵便局像もあり得る」と話す。

マイナカードといえば〝郵便局〟

 ――松本剛明総務大臣が郵便局もマイナカードの申請のみならず、交付ができる法改正の意向を示し、総務省の郵政政策部会の中間報告にも盛り込まれましたが。
 高橋常務 郵便局は自治体からマイナカードの申請事務サポートを受託してきたが、「郵便局で〝本人確認〟までできたらありがたい」との声も多くいただいてきた。法改正はその第一歩を大きく進めるものとして大いに期待をしている。

 ――申請支援ができる郵便局が急速に増えているようです。
 高橋常務 昨年12月14日、総務省から全国の携帯電話ショップのない市町村のマイナカード申請サポート事業の選定事業者に日本郵便が選ばれた。1月10日から3月末まで国の受託事務として全国723市町村2294局で申請サポートを行う。
 多数の市町村の申請サポートをやらせていただくミッションに日本郵便は今、最大限力を注いでいる。局長と社員の皆さんは、お客さまに積極的にお声掛けして、マイナカード取得の有無や、ご意向を確認し、意向のあるお客さまの申請サポートを行っていただくようお願いしたい。
 これまで、郵便局への申請サポートの委託をちゅうちょしてきた自治体もあったが、国から補助金が出ることに加え、昨年10月に総務省の「郵便局を活用した地方活性化方策検討PT」(キャップ=今川拓郎官房長)の中間まとめに「郵便局へのマイナンバーカード申請サポート業務の委託推進」が掲げられ、日本郵便にも協力要請があった。国からの強い期待と支援は強力な推進エンジンだ。
 こうした国の要請などを受け、日本郵便は全自治体に申請サポート委託の働き掛けを進めてきた。短期間に1741市町村に働き掛けた各支社や局長をはじめ、社員の皆さん方にご苦労を掛けたことを地方創生担当役員として御礼申し上げたい。
 成果として、昨年12月15日時点で59自治体から391局が受託できた。今後も大きく増えていく見通しだ。

 ――政府の支援措置は他にどのようなものがありますか。
 高橋常務 マイナカードを使って住民票の写しなどが取得できるキオスク端末の郵便局設置も、コンビニの店舗がない自治体を中心に第2次補正予算で国から補助される。
 さらには現在、6自治体から受託する「マイナンバーカード電子証明書の関連事務」も国の補助対象だ。電子証明書は5年に一度更新が必要で、カードの普及とともに関連事務のニーズもどんどん高まる。キオスク端末設置も電子証明書関連事務も、郵便局から自治体に積極的な働き掛けをお願いしたい。

 ――自治とマイナカードと郵便局の関係をどうご覧になりますか。デジタル社会においても郵便局は拠点価値を発揮できるのでしょうか。
 高橋常務 郵便局は公益性と地域性という社会的な使命を果たそうと、地方創生に向けて地域のニーズに応じたさまざまな自治体事務受託等に取り組んできた。
合併や人口減少等で機能維持に悩まれている自治体も多いが、全国津々浦々に細やかに設置される郵便局は、自治体の方々の目の届かないところのお客さまとも、日々コミュニケーションを取らせていただいている。郵便局はさらに自治体と密接に連携すべきで、局長も社員も皆が一丸となって地域を支え、一緒に頑張っていきたい。
 マイナカードは大切な身分証明書であり、健康保険証、運転免許証にもなっていくとされている。公共分野を中心に、民間連携も含めた多様な用途が見込まれるこれからの統合IDカードとして大変重要。未来の社会インフラになるカードだ。
 郵便局はどこにでもあり、対面コミュニケーションができる拠点。デジタルカードとリアルな郵便局を組み合わせることで、住民の方々の利便性向上策もどんどん誕生する。日本郵便は政府に協力しつつ、マイナカードの利用シーンに関わることで、お一人お一人のライフステージに寄り添い、お役に立つ使命をさらに広く、深く果たしていきたい。
 将来は、マイナカードといえば郵便局が思い浮かぶ、そういう新しい郵便局像もあり得ると思っている。新しい時代にふさわしい事業の形の実現に向かって、局長・社員の皆さんと共に地方創生にチャレンジしていきたい。