インタビュー 日本郵政グループ女子陸上部 髙橋昌彦監督 ①

2022.09.19

 日本郵政グループは創業150年を超え、地域に根差し、人の心をつなぎながら走ってきた。そのたすきをつなぐ「日本郵政グループ女子陸上部」が2014(平成26)年4月の創部以降、快進撃を続けている。何もなかったゼロからチームを創り上げてきた髙橋昌彦監督は「競技だけを頑張って成績を残すにとどまらず、地域に貢献する企業グループの一員として、ランニングを通じて地域の方々や社員の健康づくりにもチームの使命を広げたい」と思いを語る。

世界と地域、両方を舞台に

 ――創部8年半の実績を教えてください。
 髙橋監督 「クイーンズ駅伝」(全日本実業団対抗女子駅伝)では2015(平成27)年の初出場から7度連続で出場し、3度の日本一。21年は実業団チームの最高峰、実業団チーム・オブ・ザ・イヤーに輝いた。
 個人では、16年のリオオリンピックに鈴木亜由子選手(5000㍍)と関根花観選手(10000㍍)が出場。昨年の東京オリンピックには廣中璃梨佳選手と鈴木亜由子選手が出場し、廣中選手は5000㍍の決勝に進出し、日本新記録の快走で第9位。10000㍍では日本人として25年ぶりの入賞となる7位となった。
 創部から今まで30名弱の選手が在籍し、一緒になってチームを築いてきた。育てていく過程の中で私自身も選手たちから学び、成長させてもらってきた。選手たち、現場スタッフ、フロントスタッフがいたからこそ、ここまでのチームができている。
 今でこそ「日本郵政で競技をしたい」と言われるようになったが、創部準備時は選手を集めることに苦労した。その時、「日本郵政グループの強み」は何かと考えてみると、約150年の歴史があって社会的な信頼度が高い優良企業。一生の就職先として興味を示してくれるかもしれない、と戦略的なスカウティングに挑んだ結果、大学生4人と高校生3人の選手が来てくれ、無事にスタートできた。

〝健康づくり〟への貢献も

 ――さらなるステップとして、何を目指されますか。
 髙橋監督 日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命に勤務する選手たちが日本郵政グループを代表してたすきをつなぎ、ゴールを目指す「クイーンズ駅伝」に挑む中、来年は10年目の節目。グループの一体感やグループ社員の士気高揚を目的に掲げて創部した中で、これからも競技の活躍だけで本当によいのか。チームの活躍がどのようにグループの本業と関わり、社員の一体感につなげられているのか、進むべき方向を模索してきた。
 先般、日本郵政の増田寬也社長も「日本郵政グループ健康宣言」の制定と「日本郵政グループ健康白書2022」の発行を発表されたが、選手たちは常日頃からトップアスリートとして、自らの体調をしっかり管理している。
 そうしたノウハウを社員の方々の健康づくりに役立てることで、競技以外でもお役に立てるのではないかと考える。また、地域社会に貢献する企業グループの一員として、地域の子どもたちにもスポーツの楽しさを伝えていきたい。
 今年度、スポーツ庁は中学校の部活動について、教員の負担増、指導者不足、さらには、子ども不足によって一つの学校でチームが組めない等の問題解決のため、学校部活動の地域スポーツクラブへの移行化を宣言した。ただし、地方都市では指導者の確保やクラブ会費の負担など、移行化には課題も多い。
 グループ内には、地域の子どもたちのスポーツ指導やさまざまなボランティアに取り組んでいらっしゃる局長さんや社員の皆さんが多いと聞く。多彩な能力を持つ社員の方々、女子陸上部の選手やOGらが協力すれば、政府の部活動の地域移行への協力も可能だ。日本郵政グループの新しい地域貢献にもつながるのではないか。(次号に続く)