インタビュー 全国郵便局長会 向井則之理事(中国地方会副会長)

2022.03.25

 郵便局ネットワークの価値を地域創生とともに高めようと取り組む現場の状況等を全国郵便局長会(末武晃会長)の向井則之理事(中国地方会副会長/広島戸坂新町)に伺った。

郵政創業200年へ 今こそ〝原点回帰〟の時

 ――中国各県では包括連携協定が鳥取県で100%達成するなど、地公体との連携が着実に進んでいます。
 向井理事
 過疎化や少子高齢化は全国的な課題だ。地域を守る地公体と郵便局が、包括連携協定の締結、そして包括事務受託に進めばお互いにメリットがあるので、その拡大が重要だ。中国地方会では昨年、島根県の西ノ島町、山口県の萩市、長門市で行政事務の一部が郵便局で取り扱えるようになった。地域住民のため、さらに広げていければと思う。
 広島県三次市では、総務省の郵便局活性化推進事業として、スマートスピーカーを利用した「みまもりサービス」の実証実験が今年度行われた。行政と一体となって地域住民の安心・安全に寄与できることは素晴らしい。今後の全国展開を期待したい。
 地公体との連携では、千葉県睦沢局の「ほしいも」のような成功事例もある。昨年、現地で商品化に至るまでの苦労話を伺った。当該局長さん、部会、地区会、地方会の協力の下、普段から行政との関係を築いていないとできないことだ。地公体との連携は、これからの郵便局にとって必須であり、地方創生という点でも重要だと思うので、日本郵政グループ全体で取り組んでいってほしい。

 ――担当されている専門委員会についてお教え願います。
 向井理事
 先に取り組みを述べた「地域貢献・地方創生専門委員会」のほか、「置局・局舎専門委員会」では郵便局舎に絡む各種問題、最近では耐震補強工事等について議論・検討し、円滑に進められるように務めている。「総合政策専門委員会」では、郵政関係の課題解決に向けて取り組んでいる。
 末武全特会長が常々おっしゃっている「風通しの良い組織を目指す」ためにも、会員の意見をボトムアップで吸い上げ、対応を検討・実践していくことが大事だ。会社とは当然協力していくが、局長会としての切り口や視点で物事を進めていくことが大事だと思う。

 ――会員育成の取り組みで大事なこととは。
 向井理事
 一にも二にも研修だと思う。私が所属する広島呉地区会では、これまでも就任後1年、3年、5年、10年といったスパンで局長研修を実施してきた。中には自分の仕事に埋没してしまい、方向性を見失ってしまう会員もいるが、そうならないよう5年、10年先を見据えて一人ひとりを育てていくことが重要だ。

 ――今年は広島への原爆投下から77年を迎えます。
 向井理事
 8月6日の原爆の日には、平和記念公園での慰霊式に局長会会長として列席し、中国支社の慰霊祭等でも平和を祈願している。広島に生まれた人間にとって、平和には特別な思いがある。

 ――郵政創業150年から200年に向けた抱負をお聞かせください。
 向井理事
 郵便局を取り巻く状況は大変厳しいが、今こそ〝原点回帰〟の時だ。私たちは、今、何をするべきか、地域にとって郵便局の存在意義は何かを真剣に考えていく必要がある。局長会魂を燃やして、自分たちの行動と努力で「未来を描いていく年」にしていきたい。