インタビュー 全国簡易郵便局連合会 山本孝理事

2021.10.29

 郵便局商品の取り扱いなどで、「簡易郵便局を除く」という文言を、しばしば目にする。加えて、キャッシュレス化の波が急速に押し寄せる昨今、簡易局が生き残るためにはどうあるべきか。全国簡易郵便局連合会の山本孝理事(中国地方会長/広島県・可部四日市簡易局)は「どこまでも、お客さまが第一。〝ああ、簡易局があって良かった〟と満足いただけるよう自助努力を重ね、存在意義を示していきたい」と語る。

なぜ、簡易局を除かなければいけないのか?

 ——理事として2期4年目を迎えられ、力を入れていることは。
 山本理事 1期目同様、防犯部会に所属し、防犯施策などに取り組んでいる。地元・広島県では独自の「週1防犯コール」を実践。電話連絡網を活用して防犯に関するメッセージを伝達しており、声を聞いてやりとりをする中で、お互いの近況についても意見交換でき、意識も高まる。中国地方の簡易局代表者として、責任感を持って会員一人一人のために尽くしていく決意だ。
 ——簡易局が直面している課題はどんなことが挙げられますか。
 山本理事 深刻なのは後継者問題だ。身内に声を掛ける形が多いが、後継者が見つからないまま一時閉鎖に追い込まれるケースが多い。特効薬はないが、兼業できる強みを生かすこともできる。会社との意見交換を続け、手数料問題などの改善に向けても注力したい。
 来局者や取扱件数が年々減少し、時代の大きな流れでキャッシュレス対応が進む中、簡易局が生き残っていくためにも、スマホ決済やタブレットの導入などデジタル化を進める転換期だと思う。
 ——受託者となられたきっかけを教えてください。
 山本理事 東京の旅行会社に25年間勤めた後、故郷の広島に戻って補助者となった。2001(平成13)年に78歳の父の跡を継いで受託者となり、今年で20年目。地元の自治会や商店会、体育協会などに協力する中、さまざま
な役職も任されて今日に至っている。3年前に開局50周年を迎えた際には、来客者にクッキーをお配りした。つくづく、地域の皆さまへの感謝しかない。
 ——中国地方の簡易局の特徴とは。
 山本理事 女性の受託者が約3分の2で、加盟442局の皆さまに支えていただいている。中国5県では08年から、女性部・青年部大会を開催してきた(昨年、今年は中止)。毎回150名参加のイベントで、工夫を凝らした業務研究会や、寸劇を通して会員の意思疎通を図り、金融サービスの勉強会や交流も行ってきたので、来年こそ開催を、と願う。
 ——簡易局にとって一番大事なものは何でしょうか。
 山本理事 一般的に会社の組織図は上から会長、社長、本社、支社…となるが、私が思う組織図は、一番上にお客さまがいる。そして簡易局、支社、本社の順に支えていくイメージ。どこまでも、お客さまが第一だ。〝ああ、簡易局があって良かった。来て良かった〟と満足いただけるよう自助努力を重ね、存在意義を示していきたい。