インタビュー 徳茂雅之参議院議員(全国郵便局長会顧問・全国簡易郵便局連合会顧問・日本郵政退職者連盟顧問)

2021.11.15

 近畿支社長時代から支社全員が郵便局の声に耳を傾けようと、率先して実行した徳茂雅之参議院議員は、今年5月、全国郵便局長会(末武晃会長)の長谷川英晴相談役にバトンを託す決断をした。「郵便局事務取扱法」の改正や「交付金・拠出金制度」の成立など、長年の課題に多くの実績を重ねた徳茂議員は、「地方行政の窓口事務の一部を郵便局に委ねて取扱事務を広げることで、国から地方、地方から地域へと、より身近に住民に寄り添えるところに権限等を移せるし、郵便局の価値を高めることができる」と話す。また、「今後も郵便局ネットワークを維持できる制度改正と新規ビジネス展開が重要だ」と強調する。

広げるべき郵便局の行政事務

 ――郵便局の行政事務受託に深く関わる改正「郵便局事務取扱法」の成立に徳茂先生は尽力されました。
 徳茂議員 「郵便局事務取扱法」は、2回にわたり改正した。まず、コロナで明らかになったデジタル化の遅れを取り戻し、行政のDX化を進展させようと、菅前総理の肝いりで、政府は「デジタル改革基本法」や「デジタル庁設置法」を立案した。デジタル化を進める上で〝郵便局の役割〟が極めて重要であるとして、「デジタル改革関連整備法」第45条によって「郵便局事務取扱法」を改正したことが一つ。
 もう一つは、国に集中しているさまざまな権限を地方に移し、地方の創意工夫や判断で行政を進めようとする地方分権の流れの中でも〝郵便局の役割〟が重要だとして、「地方分権一括法」第2条によって「郵便局事務取扱法」を改正した。

さらなる法改正と新ビジネスを

 これら二つの改正は、デジタル化を進める上で、さらに地方分権を進める上でも、「郵便局」の存在が重要と政府が考えている証拠だ。
 デジタル化関連で、新たに郵便局の行政事務に加わった「マイナンバーカードの電子証明書手続き」は、従来自治体窓口でしか受け付けていなかったマイナンバーカードのICチップに搭載される電子証明書の更新手続き等の業務を郵便局もできるようにするもの。
 例えば、昨年、特別定額給付金の支給事務が大幅に遅れたのは、オンライン申請したい場合、本人確認のために暗証番号が必要になるが、忘れる人も多く、何回か間違えるとロックが掛かり、解除手続きをする自治体窓口が混雑したことが原因だった。今回の法改正で、郵便局の行政事務の幅を広げながら、マイナンバーカードの有効性と実用性を高めた。
 また、地方分権関連では、従来郵便局窓口では取り扱いが認められていなかった、「転出届」や「印鑑登録証明廃止申請」の受け付けなどの事務が加わった。これらの実現に当たっては、総務省人脈をフルに活用した。
 本来は、両事務とも「郵便局事務取扱法」の改正であり、総務委員会で審議すべきところ、デジタル関連の法案は、私が与党次席理事を務める内閣委員会が担当し、NHKが国会中継を行った参議院予算委員会において、当時のデジタル担当の平井卓也大臣に質問し、郵便局の役割の重要性について答弁を引き出した。さらに、参議院本会議における法案採決に当たり、与党を代表して「郵便局の事務取扱の法律は重要」との討論を行い、拍手のもとで法案を通した。
 また、地方分権関連法案は、参議院地方創生及び消費者問題に関する特別委員会において、当時の坂本哲志大臣に質問を行った。

 ――デジタル社会が進む中でも郵便局の温かなアナログ感も捨て難い〝強み〟と思えます。
 徳茂議員 リアルとデジタルは両方重要。オンライン会議だけでは、話しぶりや細やかな表情が分からず、真意は伝わりにくい。心の内までは見えにくい。スマホで通販の注文や代金の振り込みもできるからといって、人同士が直接、触れ合わないで暮らす社会には絶対にならない。リアルとデジタルには互いに補完し、価値を高めるもので、郵便局はその両方を担える立場にある。

 ――地方分権のことも徳茂先生はよく国会質問されていらっしゃいましたが。
 徳茂議員 明治以降、我が国が近代国家を目指す中、諸外国に追い付くためには、権限を中央政府に集中せざるを得なかった。現在でも国に権限が集中し過ぎていることが、自治体の活動や住民の生活に支障を来している。国に集中してきた多くの権限を自治体に移すための法律が地方分権一括法だ。
 今回、多くの法律を一括して改正する中に「郵便局事務取扱法」が入れこんだ。地方行政の窓口事務の一部を郵便局に委ねて取扱事務を広げることで、国から地方、地方から地域に存在する郵便局へと、より住民に寄り添えるところに権限等を移していくことが可能になる。
 そもそも、「地方」と「地域」とは、意味合いが異なる。
 「地方」は「中央に対する地方」「国に対する地方」の意味で使われるが、「地域」といえば東京にもある住民の身近な生活圏を指す。郵便局は「地方」と「地域」の両方に深く関わる。地方分権を実現する裏付けとなる予算や人材を地方も手厚くしようとする政策が地方創生。地方創生と地方分権は異なり、高齢化や人口減少、コロナ禍の中、郵便局は地域の担い手として、国と地方、地域を全国ネットワークでつながり、支えていける。
 自民党総裁選に出馬され、かつて郵政政務次官や郵政大臣、総務大臣を務められた野田聖子先生が、岸田内閣において、地方創生大臣(少子化大臣兼務)に就任された。ちなみに、地方創生の霞が関のトップである地方創生推進事務局の青木由行局長は、高校時代に同じクラスであった。地方の景気が厳しい中、地域の暮らしや経済を支える役割を郵便局が果たす地方創生は重要なため、喜ばしいことだ。

国政への思いバトンを託す

 ――「交付金・拠出金制度」など多くの実績を築いてこられた徳茂先生は、長谷川英晴全特相談役にバトンを託す決断をされましたが、何を期待されますか。
 徳茂議員 国民誰もが手ごろな料金で心のこもった手紙や重要な郵便物、荷物が届く。当たり前に思えてしまうが、国際的に見るとそうではなく、日本の郵政事業は極めて優れている。
 全国どこに住んでいても金融サービスを安心して受けられるよう9年前、改正郵政民営化法で金融サービスにもユニバーサルサービス義務が課された。しかし、郵便局ネットワークの一部が欠けてしまうとそれはできなくなる。今後もネットワークを維持できる制度改正と新規ビジネス展開が不可欠だ。

 長谷川相談役は民間企業を経験された上で郵政に入られ、局長として指揮を執ってこられた。最も現場の実態や地域のお客さまの暮らしぶりを理解されている。郵便局と地域とのつながり、地方創生に向けてどのようなことが壁になっているかを肌で分かっている方だ。
 そうした長谷川相談役の持つさまざまなノウハウや経験を国政の場で生かしていただくことが、前島密翁による事業創業以来150年の歴史を築いてきた郵政事業にとっても非常に重要だ。思いを託し、私は後援会長として全力で支援していきたい。